LAST 最後まで ページ29
あれから色んな話を聞いた。
あのあと先輩は怒ってあの人を返り討ちにしちゃったこと、私が2週間眠っていたこと、再び襲撃に来た吸血鬼たちに咄嗟に許嫁だと説明したこと。
それからどんどん話が進んで、結婚が決まった、らしい。
「寂しかったで」
退院して、家に帰る車に乗り込んできた先輩はまた家まで着いてきた。
「えっ、泣かないで…！」
私の顔をじっと見つめて、確かめるように抱き締めた先輩は泣いていた。
「やって、死んじゃうかと思ってんもん…」
「大丈夫です、大丈夫」
「やっと俺のもんになった、色んなこと乗り越えたんに」
「…」
「死んでもうたらなんもなくなってまう」
確かに、そうだ。
死んだら元も子もないのだ。
1番初めの、お前殺す宣言からは考えつかないような、言葉。
「腹減った…」
「ご飯ですか？血ですか？」
「吸わして…」
「お手柔らかに！」
がぷ、と噛みつかれる。
まあまあ痛い。けど、久々の感覚だ。
かなり余裕が無い様子の先輩は、じゅる、とか音を立てて、貪るように、でも優しく頭に手を添えて牙を立てていた。
ちょっぴり癖になるような感覚がなくなって、口の端に血がついている先輩が私を見た。
「こんな俺でごめんな」
「なんです、先輩だから好きなのに」
「名前」
「シャオロンが好きです」
嬉しそうに微笑んだ。
すると勢いよく抱きつかれ、ソファに倒れ込んだ。
私の顔に頬を寄せ、ぎゅうう、と強く。
「離れんなよ」
「もちろん」
「言うたな？」
「何度でも！言います」
「一生言ってろ」
両手で頬を包まれて、ちょっと鉄っぽい味のキスをした。
吸血鬼なのにあったかい先輩は、私のそばにいつもいてくれる大切な存在になった。
この先、こんな条件だし、なにが起こるか本当にわかんないけど。
身体を手放して命がなくなるその日まで、私が大好きなのはきっと、シャオロンだと思う。
fin.
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さかなしょこじゅん - ちら(みかもん)さん» はじめましてー！！！なんちゅう！！嬉しいです、嬉しいです、ありがとうございます！！！恐縮です、拙者これからもがんばります！！！！ (12月5日 15時) (
レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
ちら(みかもん)(プロフ) - はじめまして！衝動で一気読みしちゃいましためちゃんこ好きです､､､！！！性癖詰め込まれすぎて鼻血出てぶっ倒れるところでした､､､()めちゃファンになりました、さかなしょこじゅんさんの作品読んできます！ (12月4日 4時) (レス) id: b06dce0be8 (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - みーのさん» 何方かと思えばみーの氏じゃあないですか！！！ありがとうございます！！！ワァァ、あちらにもコメントくださいましたよね、確か。めちゃくちゃ嬉しいです…泣きそう、泣く (10月18日 13時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
みーの - うわああめっちゃ好きです…この前『地縛霊と社畜A』も読ませていただいたんですけどほんとに、さかなしょこじゅんさんの作品めっちゃ大好きです！！ (10月17日 0時) (レス) @page30 id: c910479154 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかなしょこじゅん | 作成日時：2023年9月21日 21時
