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シゲside
余白堂は俺の秘密基地だった。
MASORA自体は最近できた建物だが、この駅の余白堂としての歴史は古く、
その前にも余白堂は2回ほど移店を繰り返し、晴れて大型ショッピングモールに店を置くことが出来たのだ。
大学を卒業した今でも、仕事が休みの日に人目を避けながらここに通い続けている。
余白堂でパソコンを広げると、思いのほか執筆が進むのだ。
そんな学生の頃から通っている本屋に、最近気になる新入りが来た。
始めてその子を見た時、上を見上げ俺が書いたエッセイをまじまじと見つめていた。
なかなか手を伸ばそうとしない彼女がなんか面白くて、本を取ってあげた時、つい話しかけてしまったことを今でも反省してる。
変装グッズと称したマスクと黒い帽子は、子供にとっては怪しすぎたらしい。おまけにその日は、派手な指輪もつけていた。怖かったかな...
それから毎週、余白堂に訪れる度に彼女を見かけた。
全然読むペースが上がらず、そんなに読みにくかっただろうかと思う。
そしてあの日から1ヶ月が経った頃、運がいいことにその子の隣だけが空いていた。
｢あの、隣いいですか？｣
｢あ、はい…｣
｢どうも｣
少し緊張した。隣を覗いた時、もうしばらくで俺のエッセイを読み終わるようだった。
貴重な意見を聞けるチャンスかもしれないと意気込み、執筆を続けながら彼女が本を読み終わるのを待った。
___20:00
が、彼女は全然読み終わらなかった。
周りを見渡し、2人っきりになったと気づいた時、
静かすぎる部屋のせいだろうか、
彼女の外された片方のイヤホンから、聞き覚えがある曲が聞こえてきた。
(好きだよなんて ただ抱きしめあった)
なんか、心地いい。
どこから湧いたのか、彼女と話したくなった。
初めはビックリしていたが、途中からは目を輝かせながら話してくれたのを覚えている。
名前はAさん。ちゃん付けとさん付けで迷った。
NEWSのファンだと気付いてたし、名前は成と名乗り、誤魔化すことにした。
はなから明かすつもりはなかったが...
それからの会話は楽しかった。ライターと名乗ったのも自分にしては上出来で…
それでも会話の初めに｢あっ｣｢その…｣と発してしまう当たり、極度な人見知りという点はお互いよく似ていた。
Aさんは仕事とかについてたくさん俺に質問してきた。
...余白堂に来る目的がAさんに変わりそうな1日。
ここに来ることがもっと楽しみになった。
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紫翠(プロフ) - 八百万さん» 八百万さん、コメントありがとうございますとても嬉しいです！！現在この作品の第2編(まっすー編)も連載中ですのでそちらもぜひお楽しみください！ (2021年6月22日 21時) (
レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
八百万(プロフ) - 最初から一気読みしました！とても面白くて気づいたら読み終わってました！こんな面白い小説を読めてよかったです！ありがとうございます！ (2021年6月22日 16時) (レス) id: 6b4fee2f31 (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» momoさん最後まで読んでくれてありがとうございました！こうやってコメント頂けて本当に嬉しいです(泣) 今後とも紫翠をよろしくお願いします！！ (2021年4月20日 0時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 完結おめでとうございます！思いでの本屋さんは、更新されたら絶対に一番最初に読む！くらいな勢いで好きでした！(今もめっちゃ大好きです！)完結しましたが、また読み返します！ (2021年4月19日 18時) (レス) id: a0b82fa00b (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» STORYも最高でしたね(涙) (2021年4月3日 19時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫翠 | 作成日時：2021年3月15日 0時
