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シゲside
3月3日 20:30
余白堂の閉店30分前。マネージャーさんに無理を言って時間を開けてもらった。
たくさんの取材を受けながら、休み時間は舞台の台本読み。コンサートの振り付けなどの確認。
いつも以上に忙しかった分、帰りの車で寝てしまうほど疲れ切っていたが、
MASORAに着いて車から降りた途端、そんなものは忘れてしまっていた。
早足で余白堂に入ると、久しぶりに感じた独特の空気感。
周りの賑わった声や音楽も一瞬でかき消される。
帰ってきた感じ、好きだなあ。
｢いらっしゃいませ！あ、成さん...｣
久々に見た工藤さんは俺の顔を見てすごく驚いた。
｢お久しぶりです工藤さん。｣
｢昨日、おめでとうございます成さん！
もうビックリしちゃいましたよ〜。
10年経って、ついにですね。｣
『ピンクとグレー』を出した10年前、工藤さんは10歳でよく余白堂に通っていた。
小山と一緒にいる時はよく読み聞かせをしてもらっていたあの工藤さんが、もう大学生。
その間に俺も成長した。成長って、すごいな。
｢俺、Aに会ってきます。｣
早く会いたい。ちゃんと謝って、また話したい。
｢あ、ああ…はい！｣
少し歯切れの悪い工藤さんの返答に違和感を覚えながらいつもの席に向かう。
｢え？｣
Aは、居なかった。
｢え、ちょっ｣
急いで戻ると、俺に背を向ける工藤さん。
｢あの、Aは？｣
｢えっ、えっと……｣
なかなか答えてくれない。俯いて唇を噛む工藤さんはなんだか泣きそうだった。
でもそんなの関係なくて、焦ってしまう。
｢ねえ！！Aはどこ？｣
｢それはっ…｣
｢慶ちゃん、に、聞いてください…ごめんなさい…｣
泣き出してしまった工藤さんを見て少し冷静になる。
｢ごめんなさい。そうするよ。また来ます。｣
｢はいっ、お待ちしてます。｣
余白堂を出た俺は小山にLINEする。
｢今どこにいる？｣
｢今少しまっすーとコンサートについて話してるから事務所にいるよ。｣
返事はすぐ帰ってきた。
｢今から行く。｣
余白堂を出てスマホを開いてマネージャーに電話する。
｢もしもし、さっき降ろしてもらったのにごめん。事務所に戻りたいんだけど、いいかな？｣
気が気じゃなかった。
Aはどこ？なんかあったの？
もしかして俺があんなに酷いこと言っちゃったから、
ここには来なくなってしまったとか…
工藤さんはなんで泣いてたんだろう。
何があったの…
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紫翠(プロフ) - 八百万さん» 八百万さん、コメントありがとうございますとても嬉しいです！！現在この作品の第2編(まっすー編)も連載中ですのでそちらもぜひお楽しみください！ (2021年6月22日 21時) (
レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
八百万(プロフ) - 最初から一気読みしました！とても面白くて気づいたら読み終わってました！こんな面白い小説を読めてよかったです！ありがとうございます！ (2021年6月22日 16時) (レス) id: 6b4fee2f31 (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» momoさん最後まで読んでくれてありがとうございました！こうやってコメント頂けて本当に嬉しいです(泣) 今後とも紫翠をよろしくお願いします！！ (2021年4月20日 0時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 完結おめでとうございます！思いでの本屋さんは、更新されたら絶対に一番最初に読む！くらいな勢いで好きでした！(今もめっちゃ大好きです！)完結しましたが、また読み返します！ (2021年4月19日 18時) (レス) id: a0b82fa00b (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» STORYも最高でしたね(涙) (2021年4月3日 19時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫翠 | 作成日時：2021年3月15日 0時
