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Aside
シゲちゃんの新しい本は全く手がつかなかった。
考えてからどのくらい時間が経っただろう。
自分でもなんでこんなに思い詰めてるのか分からなくて焦ってしまう。
私、そんなに病むタイプだったっけ。
こんな些細なことで。
情けない...
( )
いつもは響いてくる音楽も耳に入ってこなかった。
頬に流れた無数の涙を袖で拭い、再び1ページ目から本を読み始める。
ｶﾞﾀｯ...
その時、隣にパソコンが置かれた。
振り向くとそこには成さんがいて、私の顔を覗く。
｢Aさん、こんばんは。｣
成さんは私の頭に手を乗せて、優しく微笑んだ。
マスク越しのその表情を見ると私はまた涙が止まらない。
｢えっと、大丈夫？とりあえず落ち着こっか。あ、上着いる？最近肌寒くなってきたからさ。｣
成さんは自分で来ていた黒のパーカーを脱ぎ、私のセーラー服の上に重ねてくれた。
いつのまにか成さんはタメ口で、大人の余裕みたいな、凄い頼もしく感じた。
｢それで、話聞いてもいいかな？｣
会うのはこれで3回目。私が相手のパーソナルスペースに初めて踏み込んだ人。
私は手を目に当て、必死に涙を抑えながら成さんに話すことにした。
｢わ、私、しん...ろ、将来やりたいこと、が決まらなくて...
あっ、あの...ほら、私、今までほとんど人と話してこなかったから、会話も、曖昧で...
こんなんが大人になって、本当にやっていけるのか分からなくて...｣
｢進路調査票、夏休み前に提出だったんです。
周りの人はちゃんとやりたいことが決まってて、それに沿って大学を決めて...
とにかく皆やる気に満ち溢れていました。
だけど私はなかなか出せなくて、もう11月に...
あはは｣
目を塞いでいた手を降ろすと、｢うんうん...｣と頷きながら真っ直ぐ私を見てくれていた。
ふと我に返り、すらすらと自分のことを話してしまったことを後悔する。
｢あっ、あ、ごめんなさいこんな話。とんだご迷惑を... こんな話、自分で考えろって話なのに...｣
成さんは少し考えこんで再び微笑んだ。
｢どうしてそう思うの？迷惑なんて思ってないよ。｣
｢Aちゃん、話してくれてありがとう。だからこの前、たくさん仕事について聞いてくれたんだね。
やりたいこと、見つけようと頑張ってたんでしょ？
偉いじゃん。｣
言われたことのなかった暖かい言葉が私の目元をまた熱くする。
｢あ、あの、成さん。｣
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紫翠(プロフ) - 八百万さん» 八百万さん、コメントありがとうございますとても嬉しいです！！現在この作品の第2編(まっすー編)も連載中ですのでそちらもぜひお楽しみください！ (2021年6月22日 21時) (
レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
八百万(プロフ) - 最初から一気読みしました！とても面白くて気づいたら読み終わってました！こんな面白い小説を読めてよかったです！ありがとうございます！ (2021年6月22日 16時) (レス) id: 6b4fee2f31 (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» momoさん最後まで読んでくれてありがとうございました！こうやってコメント頂けて本当に嬉しいです(泣) 今後とも紫翠をよろしくお願いします！！ (2021年4月20日 0時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 完結おめでとうございます！思いでの本屋さんは、更新されたら絶対に一番最初に読む！くらいな勢いで好きでした！(今もめっちゃ大好きです！)完結しましたが、また読み返します！ (2021年4月19日 18時) (レス) id: a0b82fa00b (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» STORYも最高でしたね(涙) (2021年4月3日 19時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫翠 | 作成日時：2021年3月15日 0時
