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「でも...こうやって話してみるとやっぱり私も大人になっちゃたかもしれないです」
『そうだな』
あれだけ早く大人になって先生に少しでも近づきたかったのに
実際大人というのは現実的でどこか冷めていて
何より自分の気持ちがすぐにわかって整理できてしまう
『お前を隣で支えてきたのは俺じゃなかった』
『ごめんな』
そう言って私の頭にぽんと手を乗せた先生
その手は温かい
「謝らないでください...私先生のこと好きになってこれが恋することなんだって知れたんです」
『うん』
「初恋が先生でよかったです」
先生を見つめると涙で視界がうるんでよく見えなくて
先生の声だけが聞こえてくる
『お前に言えなくて隠してたこと...やっぱどうしても言えないんだわ』
「...仕方ないです」
『ただ...まあピアノは俺が引いてた』
「...そうだったんですね。私あの曲好きです」
『うん』
いつの間にか訪れた夕日が私たちをオレンジで包み込む
何分経ったのか...
落ち着いた私の目からは涙が止まっていた
「先生」
『ん』
「本当に...本当に大好きでした」
『うん』
「先生と食べたごはんも中庭の花もクリスマスにドライブしたことも春の雨を一緒に見たことも全部一生私の中で消えません」
『うん』
「いっぱい...いっぱいありがとうございました...」
『うん』
先生は立ち上がって伸びをすると私の腕を持ち私を立ち上がらせて
優しく抱きしめた
『これで最後な』
「...はい」
『...俺といてお前が少しでも幸せならよかった』
「....先生」
『ほら、もう行け』
腕から私を解放した先生は私を玄関まで連れて行く
いつもと変わらない
そんなお別れだった
『じゃあな気をつけろよ』
「先生も...先生もちゃんとご飯食べて、鍵締めてくださいね」
『気が向いたら』
そう言って笑う先生は初めて会った時と全く変わっていなかった
引き戸をゆっくり締め終えるといろんな感情に襲われて
思わずしゃがみこんででしまいたくなる
でももうここは私の居場所ではない
そう決めて振り返ることはせずに平屋を後にした
.
.
.
私の足はどこに向かって歩いているのか
考えなくても自然と行き先は決まっていた
ドアを目の前にし深呼吸してインターホンを鳴らす
『なに』
ドアの向こうからは懐かしい声が聞こえる
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白(プロフ) - ゆうれさん» 初めまして。もったいなすぎるお言葉ありがとうございます(TT) (2018年7月25日 16時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうれ(プロフ) - 初めまして。読み始めたらストーリーの面白さに惹かれて止まらなくて一気読みしてしまいました。ユンギの大人な感じとグクの健気な感じがたまらなかったです。最新話では切なくて泣いてしまいました…本当にこの作品大好きです!これからも応援してます! (2018年7月25日 13時) (レス) id: dc2e6d7efa (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - ぴーなつさん» 初めまして!嬉しいお言葉ありがとうございます〜..(TT)もう少しお付き合いお願いします。 (2018年7月25日 12時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - #ユンミユさん» ずっと読んでいただいてるのに申し訳ないです(;;) (2018年7月25日 12時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - 初めまして。読み始めた時はユンギさんにときめきまくりで、でもグクの健気な感じがいじらしくて、読みながら私もいろんな意味でドキドキしてしまいました笑 最新話のシーンのユンギさんの夢主ちゃんがすごく素敵で……綺麗なお話をありがとうございます! 楽しみです (2018年7月25日 12時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2018年7月12日 15時