検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:26,944 hit

60 ページ15

『それ』

「え?あぁ...ゴムが伸びるの嫌でブローチにしたんです」


先生が帰ってきてから初めて先生の家に行った日

先生はいなくて縁側で本を読んでいると

いつの間にか隣に立っていた先生は私の胸元を見つめた


『物持ちいいのな』

「先生から始めてもらった宝物なので」


高校生の時先生が出張先で買ってきてくれたヘアゴムは

ゴムの部分を切ってブローチに変えた


「これって...どこかの国のお土産だったんですか?」

『...なんで』

「いや、中に入ってた紙が英語だったな〜と思って」

『忘れた』


また話をごまかした先生はタバコに火をつける

そんなに私に言えないことなんだろうか

考えちゃいけない、と思いつつも

マイナスの方向へ考えてしまう



「あのピアノの曲、まだ聞こえるんですよ」

意地になって言えなかったことを言ってみる

『ふーん』

「...先生の部屋の方から聞こえるんですけどね」

『知らねえな』

何を言ってもごまかしたり逸らしたりする先生



「...この間ホソクさんとナムジュンさんに会いました」

『.....』

黙って煙草を吹かす先生

なんで何も言ってくれないのだろうか







『俺さ』

『やっぱお前を幸せにできないわ』



しばらく続く沈黙を破ったのは先生の落ち着いた声だった




「幸せ...って私は...今こうしてるのも幸せです」


ぼーっと空を見上げる先生

タバコはどんどん短くなっている


『俺はお前の無理する顔も見たくないし辛い思いもさせたくない』

「...」

『でも俺と一緒になるってことはそういうことなんだよ』

先生は1人何かに納得したようにつぶやく



「どういうことか全然分からないです」

そう言いながら私の目は涙で潤んでいた


短くなったタバコを消した先生はこっちに振り向いて

私と向き合う


『俺はお前にそういう顔させちゃうってこと』

じっと私を見つめる瞳は何を思っているのか

私にはこれっぽちもわからない



「今...今私は笑ってます」

『いや、泣いてる』

「泣いてないです」

『...こっち来い』


先生の方へ近づくと優しく目元を拭われて

私の目を見つめる先生



『そもそも...もうお前の目に俺は映ってないだろ』



先生はそう言って笑う

そんなはずはない、私には先生しか見えていない

そう言いたいのに...中々言葉が出ない



「なんで...なんでそんなこと言うんですか」

『分かるからだよ』

61→←59



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
260人がお気に入り
設定タグ:防弾少年団 , BTS , ユンギ   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ゆうれさん» 初めまして。もったいなすぎるお言葉ありがとうございます(TT) (2018年7月25日 16時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうれ(プロフ) - 初めまして。読み始めたらストーリーの面白さに惹かれて止まらなくて一気読みしてしまいました。ユンギの大人な感じとグクの健気な感じがたまらなかったです。最新話では切なくて泣いてしまいました…本当にこの作品大好きです!これからも応援してます! (2018年7月25日 13時) (レス) id: dc2e6d7efa (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぴーなつさん» 初めまして!嬉しいお言葉ありがとうございます〜..(TT)もう少しお付き合いお願いします。 (2018年7月25日 12時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - #ユンミユさん» ずっと読んでいただいてるのに申し訳ないです(;;) (2018年7月25日 12時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - 初めまして。読み始めた時はユンギさんにときめきまくりで、でもグクの健気な感じがいじらしくて、読みながら私もいろんな意味でドキドキしてしまいました笑 最新話のシーンのユンギさんの夢主ちゃんがすごく素敵で……綺麗なお話をありがとうございます! 楽しみです (2018年7月25日 12時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年7月12日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。