先生と相良くん。 (ページ8)

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｢あ、相良くん。｣

喫茶店の近くまで行くと、向こうがこちらに気づき駆け寄ってくる。童顔という訳でも、身長が特別小さい訳ではなかったが、すごく可愛いと感じた。

｢待たせた？｣

｢ううん、わたしもさっき来たところ。｣

｢そっか。お昼に喫茶店なんて曖昧な約束するから何時に来たらいいのか迷ったけど。｣

｢昼つったら12時だろ｣

｢あはは、そうだね。
良かったよ、間違えてなくて。｣

｢なんだそりゃ。｣

｢とりあえずお店入ろっか。｣

黙っていると美人で話しかけにくい感じなのに、話すとすごく印象が変わる。そんな彼女に惹かれた。

喫茶店でお昼を食べながら話す時間はすぐに過ぎていった。仕事の話や、学校の話、特に共通の話題がある訳では無いが彼女と話すのは気持ちが落ち着いて楽しいと感じた。

｢俺が出すから、財布しまえよ｣

｢え、いやいや、高校生に出させるなんてそんな｣

｢それじゃお礼になんねーだろ。｣

｢あー、それもそっか。じゃあ今回は甘えるね。｣

“今回は”

…次回もあるのか。ふとした相手の発言に少し嬉しくなる自分がいた。自分らしくないこの感情に少しイラつきを感じる。

｢Aちゃん。じゃ、また。｣

｢……ん、またね。｣