- 漆黒 - 2 (ページ25)

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- 陸 -

発声練習をしながら、ぼんやりドアの向こうを眺める。

セットリストを見ながら、Aがいたら…なんて。

そんなことを思ってると、ドアの向こうに見慣れた姿。

ずっとずっと、会いたくてたまらなかった、

大好きな姿が見えた気がした。

その瞬間、考える間もなく飛び出して、名前を呼んだ。

陸『………っ、！A！！！！』

ぱっ、と目の前を歩くあの子が振り向く。

「…り、くさん…」

久々に見たAの顔、

久々に聞いた綺麗な声、

全部が俺の感情をぐちゃぐちゃにかき乱して、

思わず駆け寄って、抱き寄せた。

陸『っ、A……ごめん…たくさん傷つけて…ごめんねっ、…』

口から出た本心。

ふと出た言葉はAへの謝罪だった。

「ちょ、陸さん…！ここ、廊下、です、」

なんてぎこちなく声をかけてくるけど、離れられなくて。

いや、離れたくなくて、抱き寄せたその腕を解けなかった。

力『…A、久しぶり。

とりあえず、ここ廊下だしリハ室、おいでよ。』

そんな力矢さんの声で15人が動き出す。

「陸さん…？みんな、行っちゃいましたよ、？」

陸『…そう、だね、俺らも行こうか。』

やっと掴んだAの手を離すまいと

そのままAを抱き上げてリハ室へ向かった。

その間Aは何も言わずにただ、俺に身体を預けていた。

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