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ーー……
『ん……』
カタカタと食器が擦れる音が聞こえ、意識が浮上する。
目をゆっくり開けると、サイドテーブルに食器を置く黛の姿があった。
「……あ、起こした？」
『ん、大丈夫……』
いつの間にか寝てたみたい。
あんなにも寝付けなかったのに、黛が来た瞬間嘘みたいに眠りにつけたようだ。
少しずつ意識が覚醒していく中、鼻腔を擽る香りに気づく。
『なんか、いい匂いする？』
「あー……一応、お粥を作ってみたんだけど」
『まゆが？』
カップラーメンかレトルトの食品くらいしか作れない黛が、わたしのためにお粥を？
驚きながら黛の顔を見るが、何故かどこか罰が悪そうな顔をしている。
『食べたい』
「食欲出たんだ」
『まだあまりないけど、まゆが作ってくれたお粥は食べたい！』
「それは有難いんだけど……」
お粥を食べるために身体を起こし、サイドテーブルにの食器に目をやる。
そこには出来たてで湯気がたった……ちょっと焦げが入っている、卵粥があった。
「……一応ネットを見て作ってみたんだけど、案外難しくて」
黛が苦虫を潰したような顔をしながら言う。
「やっぱり、コンビニで買ってくる。食べなくていい」
『ううん、食べる！』
料理が苦手な黛が、一生懸命作ったお粥。
こんなに愛情が籠ったご飯が他にあるだろうか。
黛の制止を振り避け、茶碗とスプーンを手に取ってお粥を口に運ぶ。
『美味しいよ』
「……本当？」
本当に、こんなに美味しいお粥は初めて食べた。
わたしが食べているのを見て、黛はホッとしたような顔を見せた。
黛が作ってくれたお粥を全て食べ切る。
『ごちそうさま！』
「お粗末様。とりあえず、食欲が出てきたみたいでよかった」
『うん、作ってくれてありがとうね』
「ん。ほら、薬飲んで」
食器を提げて薬と水を渡してくる黛は、まるでお母さんみたいに過保護で。
『まゆ、お母さんみたい』
黛の優しさが少しくすぐったくて、ふふっと笑みがこぼれる。
するとギシッとベットが軋む音がし、黛がベットサイドに腰掛けた。
そして再び、わたしの額に手を当てる。
『まゆ？』
「ご飯も食べて薬も飲んだし、あとは熱が下がるのを待つだけだね」
『う、ん』
黛の作ったような笑顔が、ちょっと怖い。
「風邪が早く治る方法、教えてあげようか？」
『え……』
「人に移すと、早く治るらしいよ」
そう言って黛は、わたしの顎をきゅっと上げた。
「試してみようか？」
(end.)
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夜桜 - 初コメ失礼します…めちゃ好きです…！みんな解釈一致で違和感全然ないです…リクエスト大丈夫だったらエビオお願いしたいです…！ (2021年10月2日 13時) (
レス) @page19 id: 133e35dd99 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 長尾景さんのss、最高でした！ドキドキして面白かったです！書いてくださりありがとうございました！ (2021年9月26日 15時) (レス) @page19 id: 064c02c015 (このIDを非表示/違反報告)
pokari_pokari_(プロフ) - どのお話も解釈一致で見ててすごい楽しいです◎ もしリクエスト可能でしたら不破湊さんお願いしたいです、更新頑張ってください！ (2021年9月26日 14時) (レス) id: 8b9384f650 (このIDを非表示/違反報告)
sgn(プロフ) - まっちゃさん» 感想と応援の言葉、本当に嬉しいです。ありがとうございます(*^^*)また、リクエストもありがとうございます。長尾さんのSSを僭越ながら書かせていただきました。趣向にそぐわなければ申し訳ありません。これからもお読みいただけると幸いです。 (2021年9月26日 10時) (レス) id: 92a17296e2 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 解釈一致すぎる‥‥！お話が本当に面白いです！リクエスト大丈夫でしょうか？長尾景さんのお話を書いてほしいです！更新、無理のない程度に頑張って下さい！応援しています！ (2021年9月25日 22時) (レス) id: 064c02c015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sgn | 作成日時：2021年9月21日 13時
