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教室のドアを開けた。一瞬クラスが静かになるのはいつものことだった。けれどいつもと違ったのはその後だった。

「なあなあ!伏黒とAさんって付き合ってんの?」

開口一番、別に仲良くもないクラスメイトが声を大にして俺に問いかける。

「はぁ?」

一体、何が起こったのか自分でもよく分からなかった。

「だからぁ!伏黒とAさんって付き合ってるのかって!昨日一緒に帰ったんだろ?」

そこまで聞いて合点がいった。大方昨日クラスに残っていたやつが話を広めたんだろう。ただでさえ昨日からAに対して妙にイラついてるというのに、勝手な憶測を立てられ、ましてや教室の全員が見ている前でそういうことを聞いてくることに、またイラつきが募った。

それなのに目の前にいるこのクラスメイトはニヤニヤしながら俺の返事を待っている。盛大にため息をついた。クラスのやつら全員が俺とこいつに視線を向けている。

「付き合ってねぇよ」

それだけ伝えて俺は自分の机へと足を向ける。

中学生ともなれば人の色恋沙汰が気になってくるのだろうか。馬鹿馬鹿しいと思った。乱暴に席を引き腰掛ける。ひそひそとクラスのやつらが話をし出す。本当に馬鹿馬鹿しい。いつまで経っても幼稚で、平和ボケした連中。お前達みたいな奴らから漏れ出た感情が、呪いを形成してAが犠牲になっているというのに。

「あ、噂をすればAさん」

ガラリと教室のドアを開けた音の先にはAが立っていた。クラスメイトの言葉に頭に疑問符を浮かべて。

「え、あ、うわさ?」

「おはよ、ねぇAさんって伏黒と付き合ってんの?」

先程否定したというのに性懲りも無くAに話しかける。俺の時と違ったのはそのクラスメイトはやたらとAに体を寄せたことだった。耳打ちをするように。

え、と目をさ迷わせて一瞬Aはこちらを向いた。目が合いそうになって瞬間、俺は窓の外へと視線を外す。

付き合ってなんかないよ、小さな声が耳に入り込んでくる。
それからまたクラスメイトは何やらAに色々聞いていた様だけれどAは戸惑いながも否定していった。

やがてクラスは喧騒を取り戻し、朝のチャイムが鳴る。


なんてことは無い、日常だったはずだ。


窓の外は嫌になるくらい青空が広がっていて、あけすけな空気が外を包んでいるようだった。じくじくと広がる、不快感。それはAに対してなのか、それとも朝のクラスメイトに対してなのか。変わり始めた日常だった。

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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます!凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…!私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね! (2022年10月3日 8時) (レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか? (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます!他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで!本当にありがとうございます!嬉しすぎて転げ回ってしまいます…!不定期更新になりますがこれからも頑張りますね! (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…?本当に申し訳ありません‪‪💦‬ (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月26日 19時

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