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『あー、今日は何人に付き合ってくださいって言われるんやろ。』
「なに。自慢?」
『ちゃうわ。言っておくけどな、モテたからってなんもええことないで。』


ムカつく。ちょっと顔が良くてモテるからって図に乗りやがって。私なんて、高校に入ってから告白どころかろくに男子との関わりさえないのに。


これでも中学の頃は、何故かこんな私にでも好意を寄せてくれる男子がチラホラ存在した。
そりゃ、廉に比べたら提灯に釣り鐘。話にもならないけれど。
どちらにせよそんな人生最大のモテ期も、あるきっかけを境に呆気なく終わりを告げた。思えば、ほんの一瞬。


一方で廉は成長が進むにつれ、加速するようにモテるようになった。
特に高校に入学したあたりから毎日顔を合わせている私でさえ、課金したのではないかと疑いたくなるくらい劇的に格好良くなり、桁違いにチヤホヤされるようになった。

折角これだけモテるのだから、いい加減そろそろ誰かと付き合えばいいのに。
頑固として彼女を作ろうとしない魂胆は一体、なんなのだろう。


おおよそ、可能性として挙げられるのは5つ。

1.そもそも恋愛に興味がない。
2.勉強とかバイトで忙しい。
3.モテるが故に理想が高くなり過ぎた。
4.実は密かに思いを寄せている子がいる。
5.実はゲイ。


普通に考えれば、1か2か3が妥当だと思う。1と2は面倒くさがりの廉なら安易に想像がつくし、3に関してはモテる人にありがちな典型的な例だけれどまさか廉に限って…いや余裕で有り得るな。
その点、4と5は自ら挙げたとはいえまずないだろう。

あー、もう。全然分かんないや。


「廉ってもしかしてゲイなの?」
『はあ?ちゃうわ!急になんやねん、んなわけないやろ。』


考えに考えた挙句、パンク寸前の頭で口から出てきた言葉がよりによってこれ。
廉は驚きを通り越して呆気にとられた表情を浮かべた後、凄まじい勢いで反論する。恐らくふざけていると思われた。

そりゃ、流石に本気でゲイだとは思っていないけれど、そのくらい周囲の女子に関心を持とうとしないのは事実。


「じゃあ、なんであんなにモテるのに彼女作らないの?」


どうせまた、廉のことだろうから適当に流されるのを前提で問いただす。すると数秒間黙り込み、珍しくいつにない真剣な表情に変わる。


『好きな奴がおるから。』


予想だにしない返答に思わず言葉を失い、私たちには珍しく束の間、沈黙が流れた。

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恋(ren)(プロフ) - sakiさん» ありがとうございます。マイペースな更新になりますがお付き合いいただけると嬉しいです! (2020年3月18日 4時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます♪ (2020年3月17日 23時) (レス) id: 6230179af3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋(ren) | 作成日時:2020年2月15日 0時

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