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『今日四時間目体育やからちょっと遅くなるわ。』
「分かった、待ってる。って、もうチャイム鳴るよ。」
『うわ、やっば。』


慌てて廊下を駆け抜けていく背中はあっという間に遠ざかり、小さくなる。

私たち二年生の教室が三階、三年生は二階。どう考えたって遠回りになるのに、態々教室まで送り届けてくれるのが日課。

嬉しい反面、正直学校では一緒にいる姿をあまり見られたくなかったりもする。


『やっぱり、どう考えても似てないよね。永瀬先輩の妹にしては地味すぎるし、本当に兄妹なの?』
『わかる。どっちにしろ彼奴が妹とか、廉先輩が可哀想。』


重たい扉に渋々手をかけると、一斉に女子達の冷ややかな視線が突き刺さる。

汚い言葉遣いと下品な笑い声。所謂、一軍と呼ばれる派手な化粧と装飾品を纏った集団がこぞって陰口を叩く。態と私が一人になった瞬間を狙って。

地味でなんの取り柄もない私が廉の妹である事実に加え、必要以上に可愛がられ大事にされていることがどうも気に食わないらしい。

仕方ないじゃない。神様は廉ばかりを贔屓したんだから。血の繋がりなんて、私が一番疑いたいくらいなのに。


散々罵る割に、廉の前では猫を被り私を嫌う素振りを一切見せようとしない。

本当、女って卑怯で陰湿。






『あの…永瀬Aちゃんだよね?私、ずっと仲良くなりたいと思ってたの。だから、同じクラスになれて嬉しくて。』


顔も名前も知らない女子が突然、馴れ馴れしく距離を詰めてくる。ただ、一軍の目には触れたくないのか声は小さい。

特に部活や委員会で関わりもなければ、私に限って共通の友人という可能性もない。
全く接点のない相手が、何故私のようないじめられっ子と態々仲良くしたがるのか。理由は明確。


一年生の時。私に対するクラスの女子の態度は二択だった。
さっきの派手な集団のように一方的に私を嫌い、目くじらを立てるタイプが過半数。
そして稀に自ら好んで私に近づこうとする少数派。

案外、タチの悪いのが後者。
何故なら揃いも揃って廉と親しくなりたいが為に私を利用しようと目論む奴ばかりだから。

以降、誰のことも信用できず、やがて自ら望んで孤立するようになった。折角友達ができたと思ってもどうせ、廉を紹介して貰えないと見限れば皆静かに離れて行き、後にハブられるのがオチ。


もう裏切られるのは懲り懲り。だから、友達も仲間もいらない。
廉だけ。廉さえずっと味方でいてくれる限り、私は寂しくなんてないから。

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恋(ren)(プロフ) - sakiさん» ありがとうございます。マイペースな更新になりますがお付き合いいただけると嬉しいです! (2020年3月18日 4時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます♪ (2020年3月17日 23時) (レス) id: 6230179af3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋(ren) | 作成日時:2020年2月15日 0時

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