うさぎのひとまわり２ (ページ10)

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どらいぶページ10

どうも、ご無沙汰してます。最近うさぎさんが拗ねています。全然会えない、と。

…この場合のうさぎさんはAのことじゃなくて。
俺の方ね。全然会えねえし、なんなら連絡もよこさないし！

まぁこちらとしても、受験勉強の邪魔はしたくないし、センター試験まで56日しかない(数えた)みたいだから、連絡をしたくはないわけ。

向こうから連絡してきたらちゃんと応える気満々だし、少し甘やかしてあげたいとは思う。

経験上だけど、この時期が1番キツくなる頃だから。

……あれ、俺のスマホ鳴ってね？

『 A さんから着信』

珍しい。何かあったか、はたまた、

「どうした？」
「しげくん今暇してる？」
「暇だけど」

嘘、本当は作り置きを作るという超OL的な職務がある。
まぁそんなのは明日でもいい。

「少しだけ会えないかな」
「いいよ」

それから場所は駅前に決めて、時間は今から30分後。何日振りかわからないけど、それぐらい振りのA。

服とかは割と適当だけど、こないだセールで買った冬物のニットとジャケットを着て、家を出た。帰りは送ってあげようと思って、しっかり車です。

集合時間の5分前。スマホを弄っていると、背後からAの声が聞こえた。

「しげくん！」
「A、久しぶり…？！」

顔を見た途端、一瞬フリーズしてしまう。あれ、あの長いストレート髪どこ行った？サラサラの黒髪は？あれ？

目に映ったAの髪はそれはそれは大胆にカットされていて、肩につくぐらいで、内巻きになっている。

「へへ、今切ってきたの」
「…いいじゃん」
「それだけ？」
「え？」
「もういいもん」

ぷいっとわざとらしく顔を背けるAの手を引いて、こっちを向かせる。ちょっと笑ってんじゃねえよ。

「…かわいい、よ」
「うわー！しげくん顔真っ赤！」
「求めたのそっちだろ！」
「そんなこと言って欲しいとは言ってませんー」
「だって顔に書いてあったから」
「…ばれたか」

ふふ、と笑うAにちょっと悔しくて、そのままドライブのお誘い。少し遠回りして家に送るだけだけど。

「切った髪、しげくんに最初に見せたいなって思って」
「なにそれ」
「可愛いとか思ったでしょ」
「思わねえわ」

って口では言ったけどほんとはすごく可愛い。

「ツンデレ？」
「うるせえ」

割と俺の心の中お見通しらしいね。