うさぎのひとまわり２ (ページ8)

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○あまさかげんページ8

しげくんがとっても忙しいみたい。全然返信返ってこない。元々返ってこない人だけど。

増田さんから「今しげ今世紀最大に忙しそうだよ」と連絡が入っていた。察せられる優しさ。素敵。

私も定期試験とか文化祭とかが重なって忙しくしているから会えないんだけど、声も聞けてないし、さすがにちょっと寂しい。

こういう時、クラスに彼氏がいるっていいなと思ってしまう。しげくんが高校生だったらいいのに。わ、だめだ、かっこよすぎる。とられそう。

とりあえずご飯食べてるかなとかちゃんと寝てるのかなとか、オカン並みの心配しかできなくて、「生きてますか」とメッセージを送ってみた。

そしたらその瞬間に既読がついて、思わず「わっ」と声を出してしまった。既読もろくにつかないのに生存確認までされるとさすがに見る感じ？てことは未読無視してたなこのやろー。

そんな風に憤っていたら画面がパッと切り替わって、しげくんのアイコンのマグロが大きく映った。

びっくりしすぎたのだけれど、本能的になのか、緑の通話ボタンを瞬時に押していた。

「はえーな、出るの」
「びっくりしたんだもん」
「ごめん、超社畜だったんだよね」
「だったってことはもう忙しくないの？」
「とりあえずひと段落したかな」
「お疲れ様」
「まぁ明日からトラブりそうって思ってるけど」
「何で？」
「取引先がすっげえめんどくさいの」
「たいへん」

あんまりしげくんから仕事の愚痴を聞くことはなかったけど、ちゃんとお仕事してるんだなぁって失礼だけど思ってしまった。
たぶんすごい仕事できるんだよ。

「それで、Aさん？」
「んー、なに？」
「全然会えねえな」
「仕方ないでしょ」
「寂しいくせに」
「……否定はしません」

俺は寂しいけどなー、とか可愛さ大爆発って感じで。久々すぎてこの人甘さ加減わからなくなってるのかな、それはそれで嬉しいけれど。

「甘いなー、とか思ってんだろ」
「なんで分かるの、怖いよ」
「お前より伊達に12年も長く生きてないっすからね」
「それ関係ないでしょ」
「ふは、そうっすね」

これで元気チャージできましたか、なんて言うから、しげくん私のこと大好きなんじゃん、って簡単に元気100%になってしまうの。

「メロメロパーンチ」
「わー」

棒読みだけれどノリはいい。
早く会いたいよ、とは言えないけれど。