うさぎのひとまわり２ (ページ26)

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○さぷらいずページ26

ディナーだけは俺に決定権をください、と以前に言われて、私もワガママばかり聞いてもらってる身だからもちろんOKした。どこに連れて行ってくれるのだろう。

個人的に予約困難なあのイタリアンでディナーを取れるなら夢が叶うんだけど、あのしげくんが予約制を知らなさそうだしな、とぼんやり考える。

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「夢叶った……」
「予約頑張った甲斐があったわ」

目の前に並んだイタリアンのコースはさっき諦めようと思ったお店のもので、前に座っているのは私の素敵すぎるしげくん。

「しげくんが大人でよかった，っ」
「そこかよ」
「高校生には手が出ないよ」
「こんなに喜んでくれるなら俺大人でよかった」

えへへ、と笑いあって、美味しいパスタを食べて、
デザートも美味しくて、しげくんはお酒も飲んで、ムードは格別。

「今日楽しめた？」
「すげー楽しかったよ」
「よかったぁ…私だけ楽しかったかと心配で」
「Aが楽しそうならそれでいいよ」
「なんか甘い」
「酔ってんの！」

あんまり酔ってなさそうだけどね。
まあそういうことにしておいてあげよう。

「じゃ、そろそろ帰ります？」
「え？ショー見ないの…」
「見るよ？見るけど」

あっさりと席を立ったしげくんはやっぱり酔ってない。
それになんかちょっと早歩きで、出口に向かっていく。

「しげくん！ほんとに帰るの？」
「ん？あー、こっち行くの」
「……うそでしょ」

目の前に見えているのは、ディズニーシーに隣接するあのホテルの入り口。

「ずっと泊まりってなかったし、卒業祝いだから」
「今日なんも用意持ってないよ…？」
「シゲ優秀だから俺の部屋にあったAの必要そうなものひと通り持ってきてる」
「……泣いてもいい？」
「まだ早い」

絡められた指に熱が集まって胸が苦しい。
もうしげくんだいすき、って頭がくらくらする。

しかもお部屋は園内に面した少しいい部屋で、テラスからショーが見えるロケーション。こんなのただの夢じゃない。え、これ現実かな。

「そろそろショー始まるっしょ」
「しげくん」
「ん？」
「ありがとう、だいすき」
「そういうこと言われるとショーどころじゃないんだけど」
「え？」
「Aのミッキーは俺…でしょ？」

らしくないけど、それよりも嬉しさが勝ってしまう。
ミッキーよりも全然しげくんの方がだいすきだよ。