うさぎのひとまわり２ (ページ12)

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ぬくぬくページ12

こたつを出した。冬が寒すぎてネットでポチってしまったのだ。毎年こんなに寒かったっけ？

テレビの前に鎮座しているそれは、1人で入るのはちょっと寂しい。かといって、男友達を呼ぶのは違う気がする。こたつに男と2人は嫌だ。絶対に。

そうなると必然的にAが必要。でもな…センター試験まであと1ヶ月切ってるしな…。

あ、もしやそろそろ冬休み？そしたら1晩ぐらい泊まりに来てもよくない？俺は仕事を持ち帰って来て、2人で黙々と作業をし。

夜のつかの間の休憩タイムにこたつでぬくぬくしながらみかんを食べる。おお、日本の正しい冬の過ごし方って感じがする。

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「しげくん！！！」

玄関を開けたら勢いで首に巻きついてきたA。あんまりこんなことされないから、今ちょっとびっくりしすぎて顔が熱い。

「わ、顔真っ赤ー」
「びっくりしたんだよ」
「どきっとしたくせに！」

何？受験勉強疲れすぎてテンションのスイッチ変になってるのかね？甘い。

「え！こたつある！だいすき！」

予定がもう狂いました。部屋に入るなり一目散にこたつに入って、天国～！なんて騒いでるA見てたらもういい気がしてきた。

「俺も入れてよ」
「ふふ、いいよ」

反対側から足を入れると、冷えた足があることに気がつく。ああ、たぶん久々に会うからって気合いを入れて短いスカートを履いてきてくれたんだろう。

「足寒かったでしょ」
「オシャレは我慢だからいいの」
「それもそう？」
「その代わり背中にカイロ貼ってるしね」

暑くなってきた、と背中からべりべりと貼るカイロを取ってこたつに置いた。カイロなんて久々に見たかも。

「あー、もう出たくない、しくじった」
「今日はいいんじゃない、明日から2倍頑張れば」
「じゃあ問題出して」
「お、懐かしいわ」

鞄から引っ張り出された問題集は装丁は違えど、使っていたやつだった。ロングセラーなんだなこれ。

「じゃあ1問目ね、……」

……寝たし。
25問目ぐらいから声がフニャフニャしてきてこてん、と首が天板にくっついた。

ソファーのブランケットをかけてあげて、寝顔を覗き込む。頑張ってるんだよね、気持ちよさそうに寝ちゃってる。

「おやすみ」

目の前で俺が寝てたらびっくりしてくれるかな、と小さな期待とともにおでこを天板にくっつけた。