うさぎのひとまわり２ (ページ1)

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なつかしきページ1

夏も半ば。世間はお盆休み。

俺的には、本当に久々になんの予定もない長めの休みで、一気に気が抜ける。帰省する予定もないし。寝転んで溜まりに溜まった録画を消化。最高の休みじゃないっすか。

昼から飲もうかなとソファーを立った時、ガラステーブルにあったスマホが鳴る。お、Aだ。

「もしもーし」
「あ、もしや飲んでる？」
「開けようかと思ったところ」
「あ、そうなの？」
「あー、なんか用だった？」
「いや、そういうわけじゃなくて」

なんだか歯切れの悪い。電話の向こうで男の声がする。今度は俺が妬く番なのか。いや、俺こないだもまっすーに妬いたし。不覚にも。

「A、誰といんの？」
「え！あ、えっと！えっ、ちょっ！」
「もしもし？しげ？」
「え、誰っすか」
「小山だけど」

どこかで聞いた名前だ…誰だっけ。
知り合いにいた気がする。昔の。

「あれ、しげちゃんまさか覚えてないの？」
「まって、小山さん？」
「イントネーション変わってない！嬉しい！」

小山さんは大学の時に所属してた、別大学との合同サークルで一緒だった先輩。まぁそんなのは表向きで合コンのお誘いをしたりしてもらったりする非公認のサークルだったわけだったんだけど。

「なんでAといるわけ」
「ひどいなぁ！Aちゃんとは親戚なの」
「待って、小山さん飲んでる？」
「うん、日本酒頂いてるー！」
「絶対Aに触んなよ」
「そんな独占欲強かったっけ」

わかんないけど、小山さんは飲むとキス魔になるから！恐ろしいんだよ！そのせいで俺は合コンでどれだけ…ああもう。

「いいから指一本触れんな」
「しげ1人ならこっちきたら？」
「はぁ？」

普通ならお盆にいけるわけないだろうが。小山さんって時々突飛なことを言う。そんな突飛な提案に乗ってしまうほど、俺も大概だと思う。

それにしても最近、Aの家に通いすぎな気もする。すっかりお母さんとも仲良くなっちゃったし。まぁ仲悪くなるよりいいのか。

インターホンを鳴らすと、Aの声がしてドアが開いた。

「小山さんかよ」
「わー！しげ？！めっちゃ真面目そう！」
「しげくん、ごめん」
「いやいいよ、どうせ暇だったし」

彼女と彼女の親と大学の時の先輩。どんなお盆休みだよ、って思うけど、こんな楽しみもAと出会わなかったら知らなかったんだろうな。