【短編集】星に願いを、花に思いを。 (ページ4)

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【神月葵響】幼少と秘密ページ4

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それは突然だった。
雷鳴とともに目の前に現れた小さな、小さな角付きの犬。
見た目からしてとても弱そうで、それなのに人に懐かなくてとても可愛げがない。

それが私が華花獣を召喚した時に思った事だった。

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「アレがこんなに大きくなるんだもんねぇ。驚いちゃう」

私の横で気持ちよさそうに寝ている犬。

…いや、犬の形をした角付き狼……が正しいだろう。
寝ているそれのフワフワの毛を撫でれば、嫌そうに唸る。

「テスってば本当に大きくなったよね。あれからまだ一年だよ？主人より大きくなっちゃって…」
《ｳﾞｩｩｩｩ》

テス……それがこの華花獣の名前。
弱そうな様子を見て思いついた名前。

でもあの頃と比べ、とても凛々しくなった。
主人の私より体は大きく成長し、周りには雷を放電させて、主人以外を寄せ付けない。

「いわゆるコミュ障なのね」
《ｳﾞｳﾞｳﾞｳﾞｳﾞｳﾞ…》

──いつかテスの背中に乗って空を駆けてみたい

そう言ったらテスは何も言わず再び眠りについた。
ケチ臭いなァ…

テスから目を離しふと正面へ目をやると、自分の顔に熱がたまるのがわかる。

「……翔…くん」

それは星軍の星澤翔。
恋焦がれてる相手。

彼は鈍感なのか私のアピールには全く気づかない。

彼はどこへ行くのか、こちらへは気づかずに行ってしまった。

《ｳﾞｩｩｩｩ》
「うるさいよ、テス。」

この恋はまだ誰にも知られたくない。
翔くんにも。

これは私とテスだけの秘密。