2話 ページ3
「ぅ……く……」
どのくらい時間が経ったのだろうか…目が覚めたが、どうもおかしい。
「体が…動かねぇ……？」
よく見ると、青い光が体を覆っているのがわかった。
「結界……」
一度見たことがある。思い出したくもないが。
そういうことほど生々しく記憶に残っているのだから皮肉なものだ。
「目ぇ覚めたか」
何処からか、声が投げられた。
「誰だ？！」
声の主はそれには答えず、逆に質問をしてきた。
「何が目的だ？場合によっちゃっあ帰してやれねぇが」
「っ………言わねぇ」
「ほぅ？」
横たわる体制で相手の顔が伺えなかったが、見える位置まで移動してきて、やっと見えたのは、片目を長い前髪で隠した青年だった。
「ぅ………」
凄い威圧感。だが、弱気ではいられない。真っ直ぐに相手を見つめ、睨み返す。
「……悪い奴…ではなさそうだ」
パチッ
青年が指を鳴らすと、結界は跡形もなく消え去った。
(考えが…読まれた……のか…？)
一体何者なのか。それは、前にした質問にやっと答えた青年の口から告げられた。
「俺は河童だ」
「………は？」
ふざけてるのか……青年の顔を見返すが、至って真面目な顔をしている。
「はぁ…簡単にゃ信じねぇか…」
ため息混じりに呟くと、頭から、何かを取った。
「…？！！」
そこには先程までいた青年の姿はなく、代わりに立っていたのは、背中に甲羅、頭に皿のある……
「か…河童………！！」
その手には、瓢箪と葉っぱが握られている。おそらく葉っぱは、頭から取ったものだろう。
「妖…怪……」
「そうだ」
本当にいるのか…その存在は、今の今まで信じていなかった。
そう。あいつは妖怪ではなかった。だから、妖怪は信じなくてよかったものの……今それも実証されてしまった。
「そんなの……怖くねぇっ……！！」
「ずいぶん強気だな…」
「当たり前だ……！」
「…明らかに手が震えているが？」
「んなっ……」
図星。怖くない訳がない。
「ふっ…ハッハッハッ！！気に入った！しばらく面倒見てやるよ」
「………え……」
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作者名：ルビー | 作成日時：2015年8月21日 20時
