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“ 下で待ってる ”
私を見て欲しくて、私のことを考えて欲しくて、つい「今日、ご飯」なんて言ってしまったけれど
あれからそう連絡があって、予定を空けてくれたことを察した。
仕事を終え手早く帰る用意を済ませ、会社を出ると、そこには既に岸がいた。
それから私たちは飲食店に入り、私はいつもよりアルコール度数の高いお酒を注文した。
『それアルコール強くね?って思ったけど、お前へっちゃらなのかw』
「ふ、まぁねw」
俺そんなの飲んだらすぐ酔うわー、とニコニコ笑う岸の顔を見ながらグイッと喉に流した。
「岸は安定のビールなのね」
『仕事終わりはやっぱビールだろ』
ネクタイを少しだけ緩め、ワイシャツの袖を数回まくり、横の髪をさりげなく耳にかける仕草をする彼が眩しい。
…羨ましい、彼に好かれている誰かが。
『首んとこ、大丈夫?』
「うん、全然平気」
すると、彼は『ちょ、ごめん』と言ってポケットから携帯を取り出し耳に当てた。
『もしもし?どした?…あ、悪い。俺もう飲みに行ってるから行けないわ、うん。はーい、おつかれー』
電話をしていた時間は1分も無い。
「どしたの?」
『後輩が今会社の何人かと飲んでるらしくて、来ないかっていう誘い』
後輩。どうしてもそのワードには反応してしまう。
「内田さん」
『え?』
「違う?」
グラスの中の氷をゆらりゆらりと揺らしながら首を傾げる。
『すげぇ、何で分かったのw』
「仲良いって聞いたから」
『え、誰に?』
「岩橋くん」
『べつに普通だけどな?w』
岩橋くん、その名前を出した時、彼は何故か少し目が泳いでいた。
それが仲良いということの肯定だと感じた私は、グラスに入っていた残りのお酒を早いペースで飲み干した。
『え、今日ペース早くね?』
「飲みたい気分なの」
早々の2杯目も、度数の高いアルコールを注文した。
『…なぁ、まじで最近なんかあった?』
「?」
『なんか見かける度に暗い顔してる』
「…そう?w」
だとしたら、原因はあなただよ。
『普通にめっちゃ心配する』
そう、それが。
それが、私をこうさせているの。
「優しいね、…ほんとにいつも岸は優しくしてくれるよね」
運ばれてきた2杯目のお酒に口をつける。
「……誤解されちゃうよ、」
例えば…、内田さんとかね
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ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます! (2020年6月16日 23時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 後輩ちゃんに敵意が出てきました(笑)主人公ちゃんがんばれ!岸くんは怪我とか元気ないの気付けるのに…ちょっと惜しい!気付いてあげて!! (2020年6月15日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» 焦ったさを伝えられてよかったです!!いつも温かいコメントありがとうございます、今後もよろしくお願いします!^ ^ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - まさかのすれ違いー!!!ものすごく焦れったいです!岸くん玄樹くんや後輩ちゃんじゃなくて主人公ちゃん第一に動いてあげて!!どうなるのか今後も楽しみです♪ (2020年6月14日 17時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ありがとうございます!お待たせしてすみません(汗) 楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです^ ^ (2020年6月14日 15時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ash | 作成日時:2020年5月17日 11時