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「Aさんって出張したことある？」
向かい合って料理をつついて、いくつかの話題が過ぎたあたりで岩橋くんがそう言った。
「ううん、ないけど…どうして？」
「いや俺もないんだけどさ、今回の岸みたいに急遽言われたら焦るなーって」
「たしかにね」
気を紛らわすために来たここで、出てきてしまったその名前にドキリと胸が鳴る。
「岸は前の部署でよく出張してたんだって」
「そうなんだ」
「内田ちゃんは初めてらしいんだけど、岸がいれば安心だよね」
「そうだね」
「なんかそういうのかっこよくていいなぁ」
そう言って料理を口に運ぶ岩橋くんは、小声で「おいし」と言う。
「ねぇ」
「んー？」
「内田さんと岸って、結構仲良いの？」
あくまで、さらりと問う。
「…うん、いいよ」
岩橋くんは、言葉をつなげる。
「デスクも向かい合ってる配置だし、会議も被ってるし、一緒に書類作ることも多いみたいだからよく楽しそうに話してるし、結構仲良いと思うよ？」
料理の味が、さほど美味しく感じられなくなってきたのを感じながら
私は「そうなんだ」と笑顔を浮かべる。
「内田ちゃん、岸のこと好きだったりするのかなぁ…」
岩橋くんの口から出たふわりとした疑問が、私の心臓を、不安という手で握り潰す。
本当は、2人の関係を探りたいようで知りたくなくて
早くこの話題を終わらせたいのに
それでも笑顔を浮かべる私は「岸が内田さんのこと好きだったりしてね」なんて、無意味で、天邪鬼で、自滅的発言をしてしまう。
「岸が内田ちゃんのことを？
…あー、もしかしたらあり得るかも。
もし、俺たちのどっちかの予想が合ってたらこの出張ドキドキだね」
岩橋くんから笑顔を向けられて、私も応えるように笑顔を向ける。
岩橋くんと合っていた視線を外して、皿を見ながらゴクリと飲み込んだ料理は、もう何の味もしない魅力の無い塊になった。
「岸、ああいう真っ直ぐでほっとけない！みたいなタイプ好きそうだもん」
「内田さん、真っ直ぐで可愛いよね」
「まぁ俺は…Aさんの方が可愛いと思うけどね」
「はは、私は真っ直ぐでほっとけないタイプでも何でもないよ」
「…Aさん」
「んー？」
お酒の入ったグラスを傾けながら、そう答えると岩橋くんは複雑な顔をして笑う。
「…岸のこと、好きなんだね」
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ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます！ (2020年6月16日 23時) (
レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 後輩ちゃんに敵意が出てきました（笑）主人公ちゃんがんばれ！岸くんは怪我とか元気ないの気付けるのに…ちょっと惜しい！気付いてあげて！！ (2020年6月15日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» 焦ったさを伝えられてよかったです！!いつも温かいコメントありがとうございます、今後もよろしくお願いします！^ ^ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - まさかのすれ違いー！！！ものすごく焦れったいです！岸くん玄樹くんや後輩ちゃんじゃなくて主人公ちゃん第一に動いてあげて！！どうなるのか今後も楽しみです♪ (2020年6月14日 17時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ありがとうございます！お待たせしてすみません(汗) 楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです^ ^ (2020年6月14日 15時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ash
| 作成日時：2020年5月17日 11時
