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『え、うんま』
「ほんと?」
『うん、え、まじで美味い』
「よかった」
あれから何とか料理を作り終えて、2人でテーブルに向かい合った。
あの時の涙については何も触れず、あくまで私から話すのを待つ彼の対応は、本当にありがたかった。
『NO.1で料理も美味かったら天下取れんじゃね』
「あはは、取れないから」
笑わせてくれる優しさに、私はまたじんわりと心が温かくなった。
「NO.1の料理食べられたのラッキーだよ?w」
『いやまじでそれは思う』
「…あのね、来週でNO.1を卒業するの」
『え…辞めんの』
「うん、もう目的は達成したからね」
割と寂しいけど、と付け加えると、俺もなんか寂しい、と言う。
「なんで岸が寂しいの?w」
『んー…何でだろ…んーー…俺らが仲良くなったきっかけだからかな』
「ふふ、確かにね」
『辞めたからってここが仲悪くなるわけじゃないけどなw』
「そうだよ」
仲良いって思ってくれてるのかなって
ちょっとだけ、キュンとした。
「辞めるからここも引っ越すんだよね」
『気分転換でしょ?』
「うん、それもあるんだけど…、実はここって私のお客さんの1人が家賃全部払ってくれてて」
『え、まじで?!』
「うん、でも私はもう辞めるから、お客さんに払わせるわけにいかないしね」
『ほぇ〜…何かもう俺とは次元が違いすぎて分かんねw』
「実はさ、私がこの家に住んでるってバレたら怪しまれそうだから会社の誰にも家言ってないの」
『たしかに…普通の収入じゃここは厳しいもんな…』
「うん、だからこれも契約の秘密事項に入ってるからね?」
『了解っ』
「あ、そうだ。淳太はここよりもいい部屋住んでるよw」
『まぁじぃ〜?ハンパないなその淳太って人!』
「あはは」
そんなことを話しながら遅めの昼食を終えると、岸はベランダが目の前に広がる窓に近づいた。
『なぁ、ベランダ出てみてもいい?』
「どうぞ?」
岸に続いて私もベランダに出る。
空の奥の方がオレンジ色に染まりつつあった。
ここからの景色が見れるのもあと少しなのだと考えると、やっぱり寂しくなった。
『うっわぁ…すげ…』
「ここは夜も綺麗だよ」
『うん、そんな気がする』
東京の景色を見下ろす彼の横顔は、やっぱり綺麗だった。
時折吹く風に髪が少し揺れている。
写真におさめたい。
それで、いつでもその横顔を見ていたい。
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ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます! (2020年6月16日 23時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 後輩ちゃんに敵意が出てきました(笑)主人公ちゃんがんばれ!岸くんは怪我とか元気ないの気付けるのに…ちょっと惜しい!気付いてあげて!! (2020年6月15日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» 焦ったさを伝えられてよかったです!!いつも温かいコメントありがとうございます、今後もよろしくお願いします!^ ^ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - まさかのすれ違いー!!!ものすごく焦れったいです!岸くん玄樹くんや後輩ちゃんじゃなくて主人公ちゃん第一に動いてあげて!!どうなるのか今後も楽しみです♪ (2020年6月14日 17時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ありがとうございます!お待たせしてすみません(汗) 楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです^ ^ (2020年6月14日 15時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ash | 作成日時:2020年5月17日 11時