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電気をつけて、大きく眩しいシャンデリアの光を体全体で浴びた。
大きな部屋をぐるりと見渡して写真に収め、ふかふかのソファに横になった。



「本当に、ありがとうございました」



きっとこれ以上ここにいたら、帰るのがあまりにも惜しくなってしまう。
私は逃げるように部屋を出た。



「お、ここにおったんか」

「あ、淳太」

「ごめんお待たせ」

「ううん」



抱えていた2つの花束は受付のカウンターに置いて、淳太と2人で贈り物達を車に乗せた。

パズルのように上手く入れないと入りきらないくらいの量で、トランクだけでは収まらず、後部座席を倒してやっとすべて入りきるほどであった。


車に鍵をかけて、1度、2人で店に戻る。
何となく2人とも無言でいたが、それを破ったのは淳太だった。



「A」

「ん?」



名前を呼ばれて彼を見ると、彼は控えめに両腕を広げていた。
私はクスッと笑って、彼の両腕の中におさまった。
私を抱き締める腕にギュッと力を込められて、私も負けじと力を込め返す。



「ありがとう」

「こちらこそほんっとにありがとう」

「…めちゃくちゃ楽しい6年やった」

「復讐のために入ったはずなのに、それ以上の素敵なものをここで見つけたよ」

「そうか…、それは嬉しいな」

「あの時、採用してくれてありがとう」

「うちを選んでくれてありがとう」

「泣くなや」

「そっちこそ」

「うるさい。…よし、明日も仕事やからそろそろ行こか」

「………そうね」




ゆっくりと体を離し、また2つの花束を抱いて
私は最後の退勤をした。







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ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます! (2020年6月16日 23時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 後輩ちゃんに敵意が出てきました(笑)主人公ちゃんがんばれ!岸くんは怪我とか元気ないの気付けるのに…ちょっと惜しい!気付いてあげて!! (2020年6月15日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» 焦ったさを伝えられてよかったです!!いつも温かいコメントありがとうございます、今後もよろしくお願いします!^ ^ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - まさかのすれ違いー!!!ものすごく焦れったいです!岸くん玄樹くんや後輩ちゃんじゃなくて主人公ちゃん第一に動いてあげて!!どうなるのか今後も楽しみです♪ (2020年6月14日 17時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ありがとうございます!お待たせしてすみません(汗) 楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです^ ^ (2020年6月14日 15時) (レス) id: 8c76b61c28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ash | 作成日時:2020年5月17日 11時

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