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タクシーに乗り込むと、彼は男女の交わりで溢れ返るホテルではない高級ホテルを、行き先に指定した。
煌びやかな高級感あふれるホテルの前にタクシーは止まり、彼は私の手を紳士に取り車を降りた。
「源氏名さんお待たせしました、行きましょう」
ロビーのソファで座って待ってて、と言われそこに座っていた私の元に、フロントで鍵を受け取った彼が笑顔でそう言った。
エレベーターという密室の箱に入ると彼が押したのは最上階の69階だった。
「ぇ、ちょ、永瀬さん、69階って…」
「源氏名さんには1番良い部屋が1番似合いますから」
彼は、1人の女との性 行為のためだけに一流ホテルのスイートルームを取るというのか。
エレベーターの扉が開き、次はスイートルームの大きな扉が彼によって開かれる。
「どうぞ入ってください」
煌びやかで、それでいてシックなスイートルーム。
例えるならまるで、金粉を振りかけたビターチョコレートケーキ。
カバンを置くことも忘れて、私はヒールを鳴らしながら、目の前に広がる大きな大きな窓から見える景色に吸い込まれるように近づいた。
69階から見えた眠らない東京の夜景は、涙が出るほど美しかった。
「っ、」
気づいた時には、後ろから彼に抱きしめられていた。
69階のここでは、私が彼に抱きしめられていることなんて窓の外から誰も見えやしない。
「…シャワーお先にどうぞ?」
「…まだ、こうしていたい」
「永瀬さんは、甘えん坊さんですか?」
クスクス小さくと笑ってみせると、抱きしめる力を彼は強める。
「…俺のものになってや…」
弱々しく彼が言う。
「今日は永瀬さんのものです」
「今日だけじゃなくて、これからも…」
窓ガラスに反射した私は、口角が不気味に上がっていた。
「お店に、いっぱい会いに来てくださいね」
「そういうことちゃう…もう、何でいじわる
するん」
私の肩に埋めていた顔を上げ、窓ガラスに越しで目が合うと、ぷぅっと頬を膨らませた。
緩んだ腕の中で私は反転し、膨れた彼の頬をつんと突いた。
「シャワー、浴びてきますね?」
シャワーからあがり、バスローブを羽織り、私は窓の側の椅子に座った。
どれだけ見ても飽きない。
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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時