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レースを所々にあしらった、タイトで、それでいて控えめなパーティードレスに、深紅のリップ。

鏡の前に立ってニッコリと笑う。



「源氏名」
「はい」



開店して、2時間ほど経って、淳太が私を呼ぶ。



「……永瀬様がご指名や。」







あぁ、ついに来た。

この時を待ちわびていた。

私の目的が、その達成の時が、もう目の前に迫っている。







「分かりました。」

「源氏名」

「もうw 淳太が緊張してどうするの!w」

「…」

「…6年もかかってごめんね」

「源氏名…」

「味方でいてくれてありがとう、絶対に今日で終わらせるから」




私はヒールを鳴らしながら淳太にそっと近づき、最初で最後、淳太の頬にそっとキスをした。




「無理はすんな、何かあったらすぐに呼べ」

「うん、ありがと」




香水を一振りし、私はゆっくりと深呼吸をした。

「これで拭いて?」と頬についた私のキスマークが落せるようにティッシュを淳太に渡して、私は部屋を出た。


それからブラックカーペットを高いヒールでゆっくりと歩いた。


NO.1専用の特別な部屋の扉は分厚く、重い。
部屋の入り口の側に立つボーイがその扉を開けた。




「どうぞ」
「ありがとうございます」




見慣れているはずの煌びやかなシャンデリアが、やけに今日は眩しかった。




「1番奥のソファ席でお待ちです」
「はい、ありがとうございます」




1番奥に向かって足を進める。

すると見えてきたその姿に、今までの自分の努力してきた光景が頭の中を駆け抜けて思わず泣きそうになった。


まだよ、勝負はこれから
見返すんでしょ
後悔させるんでしょ


もう私はあの時の惨めな私じゃない。




…この人よりも、上なのだから。







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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時

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