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『何かあった?』
「え…?」
『この土日で何か嫌なことでもあった?』
「…」
『べつにあれだよ。無理に言わせようとしてんじゃないし、言いたくなきゃ全然言わなくていいんだけどさ?まぁ…何かあったなら少なくとも話は聞けるからさ。』
そのために私をご飯に誘ってくれた、ということか。
もし夜の仕事で何かあったなら、自分なら話くらいは聞いてあげられるから
事情を知っているのは淳太以外に自分しかいないだろうから。
「…」
『余計なことした、かな』
眉をハの字に下げて苦笑いをしながらビールを飲む岸に、私は「ううん」と首を振って同じ様な顔をした。
「…金曜日、ほら、私夜の仕事あったじゃない?」
『あぁ、そうだな。』
「……本当に偶然だったの」
あの金曜日のことを思い出すと、どうにも心臓に鉛がへばりついた様に心が重くなる。
ひどく煙草を吸いたくなった。
「…お店でね?ばったり会ったのよ、元カレに」
『ぅえ?!も、元カレって…あの…』
「そ。」
私は金曜日のこと、それから彼がもうすぐ私を指名する可能性があることを岸に伝えた。
彼はただ、相槌を打ちながら私の話を最後まで聞いていた。
『…Aって偉いよな、ってかやっぱプロだわ』
「え?」
『NO.1のプライドっての?品格っていうのかな、なんかそれを守り抜いてる感じ。』
「…」
『す…っげぇ、かっこいい。』
「そうかな、…情けないくらいに動揺したのに」
『俺がAの立場でもきっと動揺するよ』
「うん…」
私は烏龍茶に手を伸ばした。
グラスはじんわりと汗をかいていて、掴む手がしっとりと濡れた。
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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時