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kishi ▷▷
お昼を済ませ自分のデスクでうだうだと携帯をいじる。
隣の席の人はまだ戻ってきていない。
親指でSNSのアイコンを叩いたとき、隣の空いていた席が、埋まった。
「ねぇぇ…」
『ぅわ、お前か…』
「なに。俺じゃダメだったの」
『ちげぇよw びっくりしたんだよ』
その席を埋めたのは、本来の席の主ではない岩橋だった。
「…」
『どうした、元気ねぇじゃん』
大好きな大好きな大好きなAとお昼を一緒に食べて、ルンルンで帰ってくるだろうと思っていた岩橋は、その予想とは対照的に少しばかり気分が落ちていた。
「Aさんに断られたぁ〜…」
『何を?』
「……飲み。」
明日土曜だし一緒に飲めると思ったのに、と頬を小さく膨らます岩橋。
「先約があるから、だってぇ…」
『先約…』
そうか、この前彼女は言っていた。
次の日が休みだからこそ飲みやすい、と。
だから夜の仕事の予定が入っていることが多い、と。
『まぁ、先約があるなら仕方ねぇよなぁ』
「分かってるけどさぁ〜?」
誰だよAさんと飲む約束した奴…、とぶー垂れる岩橋を見て、俺はぎこちない笑い顔を浮かべた。
「イケメンかな、その相手」
『女友達かもしれねぇじゃんw』
「ん〜…」
それに、と言葉を続けた。
「今日俺たちの部署の人からお菓子もらったんだってぇ。あのマドレーヌ。俺があげたかったのに、岩橋君の部署の方からいただいたからって断られちゃった」
『へ、へぇ…』
「わざわざ部署が違うAさんに、しかも1人1個だけもらったお菓子あげるとか絶対狙ってるじゃん、もう…ライバル多すぎまじで〜…」
『わ、わざわざあげる人もいるんだな』
…岩橋頼む。
俺の泳ぎまくった目に気付かないでくれ。
そのお菓子あげたのたぶん俺、とは何とも言いづらい。
「俺があげたかったぁ〜…」
…待て。何で言いづらいんだ。
“ それあげたの俺だから安心しろよ ”
それだけなのに。
『その気持ちがAも嬉しいんじゃね?』
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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時