可愛くねぇ奴。 (ページ18)

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「失礼します」
「Aさんじゃん、どうした？」
「頼まれていた資料の件で来ました」
「青木ならあっちにいるよ」
「わざわざありがとうございます」

いつも通りの昼の仕事。
私は今、頼まれていた資料を抱えて岸や岩橋くんがいる部署に来ている。

「青木さん、」
「Aさん！あ、資料ですよね！今行く！」

コーヒーマシンでコーヒーを入れていた青木さんが急ぎ目でデスクにカップを置き、私の抱えていた資料を受け取った。

「ごめんねぇ急いでもらっちゃって」
「いえいえ、いつもお世話になっていますから」
「優しいなぁ、あ、じゃあこれあげる」

そう言って机の引き出しを開けると新品のクッキーの箱を私に差し出した。
青木さんは会う度にこうしてお礼としてお菓子をくれる。

「いつもいつも貰っちゃって申し訳ないです」
「いーのいーの！」
「ありがたくいただきますね、ぁ、前にいただいたチョコ、すっごく美味しかったです」
「そっかぁ、よかったよ」
「では、失礼します」

小さくお辞儀をし、出口に向かって歩いていると A と私を呼ぶ声が何処からか聞こえた。少しキョロキョロと見渡すと思ったよりも近くのデスクから声は聞こえていた。

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