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『あのさ〜』
「ん?」
私の最大の秘密を共有し、お酒も進んで、ご飯も進んで。
進んだ先では私たちの距離はグンと縮まっていた。
『また仕事の話になっちゃうんだけどさ、その…何でやろうと思ったの?』
「夜を?」
『そう』
あまりにも岸さん、いや、岸が心地良くて、話しやすくて。敬語だって取れちゃって。
「…正直、別にお金に困ってるわけじゃないの。
会社で働いてる分のお金で全然暮らせてるし
買いたいものだって買えるし、貯金もできるし
両親も幸せなことに不自由なく暮らせてる」
『うん』
「…夜の仕事はお金のためじゃないの。あ、ちなみにこれも秘密だから契約の中に入ってるからね」
秘密の中に隠された更なる秘密。
それを知っているのは店のオーナー兼ボーイの淳太しかいない。
今まで誰にも言おうとしなかった。
淳太だけ知ってくれていればそれでいいと思っていた。
「…簡単に言えば、自己満の復讐のためよ」
『復讐…?』
「ここでは言いたくないな。帰りのタクシーの中で話そっか。」
『おう』
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歓迎会ぶりに一緒に乗ったタクシー。
都会の夜景が流れていく。
私達は後部座席に並んで座った。
「…」
『…』
会社の人が持つ私へのイメージも、もちろん私だ。
でも夜の顔の私は、きっと会社の人のイメージにはない。
過去に囚われ、黒く淀んだ物を抱え、復讐してやろうと思っている私なんて。
「…長く付き合ってた人にさ、フラれたんだよね。浮気されて。」
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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時