全てを捨てて、ここに来て - 3 -

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いつまでも会議室にこもっているわけには行かない。
何故なら私に与えられた今日の仕事は待ってくれないからだ。




私は重い体と、ヒビの入った心を抱え会議室を出た。




デスクに戻ると濱田先輩の声がして振り返る。





「A、取り調べいくぞー」

「はい」





資料を持って笑顔を向けてくれた濱田先輩を見て、部長の言葉を思い出した。




“ 濱田はお前を庇ってた。
Aが1人で道を進んで行った時、しっかり止めなかったのは俺です、って。”




尊敬してやまない先輩に
毎日お世話になっている先輩に
私は、なんて事をさせてしまったのだろう


正義感と自己中心的な行動をはき違えて、結局満足したのは自分だけ。


…自分が、嫌になった。







「A、今回の取り調べの相手は桜庭なんやけど大丈夫か？」

「はい、大丈夫です」

「気分悪くなったら遠慮なく言っていいからな」

「ありがとうございます」






取り調べ室の前に着くと、既に中には桜庭がいる雰囲気を感じた。




…記録係とはいえ、表情管理をしなければ。

私は得意なポーカーフェイスを、顔にべったりと貼り付けた。






「麻薬捜査部の濱田とAです」






鉄の重い扉を開けると、その先の無機質な部屋に桜庭は静かに座っていた。

私はパソコンが置いてあるデスクに座るため、桜庭には背を向けている。



何だろう、強い視線を感じた。







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「あれ？団地で会ったお姉さんだ。」







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