全てを捨てて、ここに来て - 3 -

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安静の為の休暇が明け、私は数日振りの出勤をした。

小瀧君の一件で気分は最悪で、怪我をしていた時よりも体はズシンと重く、全てが曇って見えていた。




得意な表情管理は、できているだろうか。

とにかく、ただ、憂鬱。

心が、弱くなっていた。






「おはようございます」






デスクに着くと周りのみんなが大丈夫か、と声をかけてくれて、お菓子や飲み物をデスクに置いてくれた。

その中で、少し奥からこちらを見ていた濱田先輩と目が合った。

私は周りの人が違和感を感じない程度に先輩に向かって頭を下げると、濱田先輩はいつもの優しい笑顔で “ おかえり ” を口を動かした。





「皆さん、ありがとうございます」





いただいたものをありがたくカバンや机にしまっていると、「A、ちょっといいか」と部長に呼ばれ、部長の後ろを追った。

後ろを追う自分の足が重たい。






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部長に連れられて辿り着いたのは空いていた会議室だった。



「座ろうか」

「失礼します」



テーブルを挟んで向かい合って座る。

何の話だろうか、と疑問に思っていると部長は静かに口を開いた。







「今回、逮捕対象だった犯人グループを全員逮捕できたよな」

「はい」

「報告書と濱田から事情は詳しく聞いた。」

「はい」






「…どうして、1人で倒れていたのかも聞くことになった。」






部長から発せられるピリついた空気が、免疫力が消えた体には堪えた。






「お前は間違いなくエリートだ。
全てにおいて高いスキルをもっている。
それは間違いない。
みんなが思ってることだ。
それなのに…


…1人で行動することが、どれほど危険か
そんな事も分からないのか。」



「、」



「犯人達にとっての敵は俺ら警察なんだよ。
…俺言ったよな、桜庭は、逃げる為ならどんな犠牲も厭わないって。


…1人で分かれ道を進んで、団地に1人で入って行った？
濱田に無線も無しに？


団地みたいな所は、どんな奴がどれだけ潜んでいるか分からない。
誰のアジトになっているかも、どんな仕組みになっているかも分からない。
その中に1人で入って、しかもエレベーターで待ち伏せ。



どういうつもりだ」








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