全てを捨てて、ここに来て - 3 -

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nozomu▷▷







『頼む…出てやAさん…』





電話を掛けたのはこれで何回目だろう。

何かの事情で出られなかった事も想定して、時間をおいて掛け直しても全く反応が無い。





『Aさん……』





まさか大吾が憧れていた刑事さんがAさんだなんて、そんな偶然あるのかと本当に驚いたけれど

Aさんの表情は、俺を驚いている場合じゃないとハッとさせた。






…俺は、知っていると思っていたんだ。






Aさんは俺の年齢や、今高校生だと言うことも分かった上で、今の関係が成り立っているものだと思っていた。


でも、表情管理が上手いあのAさんの表情が崩れていた。


…ショックを受けたみたいな顔をしていた。





帰る、と言ったAさんに、元気そうなAさんに
『体調は？』なんて言って必死で呼び止めるくらいには焦った。






…いや、今も焦ってる。







自意識過剰かもしれないけど

少しずつ距離が縮まっていた気がしていたのに

少しずつ俺への壁にヒビが入ってきていた気がしていたのに

Aさんが、また分厚い壁を造ってしまいそうで焦ってる。






『…』






頭をガシガシとかいた。

まさかこんな所に落とし穴があるなんて思わなかった。





Aさんは、俺が17じゃ嫌？

俺が制服を着ていたら嫌？

もう今までどうりの俺には見れない？





俺はあなたの口から答えを聞きたいんだ。

今までどうりの小瀧望には見られないと距離を置かれるとしても

Aさんの口から言葉を聞きたい。






…頼むから、今日の会話が最後なんてこと、しないで









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