全てを捨てて、ここに来て - 2 -

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nozomu▷▷





「モデルさんがいたかと思ったよw」

『あー、いや…全然…』





…あかん、死ぬ。


正直、Aさんが言ってくれた言葉は今までにも何度も言われた事がある言葉だったのだけれど
今までの人生で1番、照れた。


めちゃめちゃ照れたし、めっちゃくちゃ嬉しかった。




俺の目の前に立ってそう言ってくれたAさんは、もちろんいつも完璧に美しいのだけれど
初めて見たAさんの私服姿は美し過ぎた。




俺のことをモデルみたいだと言ってくれたけど、俺からしたら俺なんかよりよっぽどAさんの方が雑誌から出てきたみたいに綺麗だ。




髪も、いつもは結んでいるけど今日は軽くかき上げていて、動きのある毛先を思わず目で追ってしまいたくなる。





ふんわりと香ってくるこの香りは、きっとAさんが付けている香水で、くらくらする。




この人は、一体何者？




そう冷静に考えてしまうほど魅力的だ。






「お茶しに行こっか」






そう言って俺の顔を少し覗き込んで笑ってくれるこの人の、底無し沼に足を踏み入れてしまったみたいだ。



だって、もう地球上にAさんしかいないみたいにAさんしか見えないから。





『あそこのカフェ、オシャレですよ』

「へぇ、ならそこにしよ」

『え、あ、いや！Aさんが行きたかったところでいいんですよ？』





あなたは耳に髪をかけながら笑顔で言う





「小瀧君が普段どんなところに行ってるのか気になるから、行ってみたい」






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あぁ……、俺はきっとこの人に勝てない。







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