34 ページ34
.
チリンチリン、と控えめに鈴が鳴る。
バーの中は、さらに薄暗かった。
家具は全て黒。椅子から机から、全てが黒。
その分、カウンター上に吊るされたグラス達が微かな照明の光を吸い込んで、より輝いていた。
「いらっしゃいませ。」
影の奥から現れたマスターの年齢は40手前だろうか。犯人グループの写真には無かった顔だ。
「お2人様ですか?」
「はい」
「お好きなところにおかけください」
少しだけ奥行きのある店内。
奥の方に進むといくつかの丸テーブルがあって、向かい合って座っている男2人と、4人テーブルをわざわざ選んで隣同士で座っている男女がすでにいた。
私たちは、その2組の手元が絶妙に見える席に向かい合って座った。
「こちらがメニューでございます、ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
メニューを開いてカクテルに目を通す。
職務中の飲酒は禁止されているが、怪しまれないためにも注文することは許されている。
カクテルを1杯と、ソフトドリンクを1杯注文した。
マスターには申し訳ないが、頼んだカクテルは飲むことができない。
「お待たせいたしました、ごゆっくりどうぞ」
真っ青なカクテルと、ゆっくりと泡が上がるジンジャーエール
「ん、美味しいね」
「うん、美味いな」
カクテルはあくまで 飲んだフリ
「いい雰囲気のお店だな」
「ね、あの照明とか素敵だよ」
さりげなくお店全体を見渡す。
「ちょっとお手洗い」
「うん」
あくまで客として自然に過ごして1時間ほど経って、店内の様子を少し見るためにもトイレに立った。
「ぉっと、ごめんなさい」
「いえ、こちらこそすみません」
1つしかないトイレの扉に手をかけようとした時、偶然にも中から出てきた男が扉を開け、ぶつかりそうになってしまった。
キュッ、と男性が履いていた靴が床に擦れた音を鳴らして、何とかぶつからずにすんだ。
「ハンカチ落としましたよ」
「あ、ありがとうございます」
驚いた拍子に男性が落としたハンカチを渡す。
私はトイレに入り、内側からしっかりと鍵をかけ、無線のマイクのスイッチを入れた。
.
「見つけました。」
.
.
294人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ash(プロフ) - るいさん» 嬉しすぎます…ありがとうございます…!!一生懸命書きますのでこれからもよろしくお願いします…(泣)るいさんからのコメントこれからも心からお待ちしております!! (2019年6月7日 22時) (レス) id: b40656dd38 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 間違いなく、わたしが今1番大好きで更新を心待ちにしているお話です!これからも楽しみにしています(*^^*) (2019年6月7日 22時) (レス) id: d1e23dd89a (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - さきたろさん» まとまりがあるかがとても不安だったのでさきたろさんのお言葉がすごくすごく嬉しいです(T T)本当にありがとうございます!こちらこそお忙しい中読んでくださりありがとうございます!さきたろさんからのコメント心からお待ちしております! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 27789ffdf4 (このIDを非表示/違反報告)
さきたろ - コメント失礼します。この作品すごく好きです!とても面白くて1からノンスットップで拝読しました。文章にまとまりがあり、読みやすいです!お忙しいと思いますが更新頑張ってください!応援しています! (2019年5月14日 10時) (レス) id: fdeb90d7fb (このIDを非表示/違反報告)
ash(プロフ) - 一波さん» ありがとうございます!!期待に応えられるように頑張ります…!!また一波さんからのコメント心からお待ちしております!! (2019年5月13日 0時) (レス) id: 27789ffdf4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ash | 作成日時:2019年5月12日 18時