全てを捨てて、ここに来て - 2 -

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『…もしかして全部俺の為…？』





私は、何も言えなかった。

小瀧君には、もう私の気持ちが見えてしまっていたんだ。





『…ってごめんなさい、目覚めたばっかりなのに…。
今日はもうこの話やめましょ、疲れちゃいますよね…すいません…』

『あ、今日と明日は大事をとって入院だそうですよ、今濱田さんが手続きに行ってくれています』






苦い沈黙が部屋に流れた時、それを破るように勢いよく扉が開いた。






「A！」

「A！」

「ちょ！中間さんも桐山さんも早いて！」

「淳太…照史…」





照史は横たわる私と目が合うとしゃがみこんだ。

淳太はそのまま私の元に駆け寄って_____





「ふざけんな………」





言葉の荒々しさとは裏腹に
壊れ物を持つように優しく、本当に優しく
私を抱きしめた。





「何してんねんお前……」

「ご、めん……」





淳太は肩で息をしていて、どれだけ急いで駆けつけてくれたのかが分かる。





「俺、照史！分かるやんな…」

「大丈夫だよ、わかる」

「もぅ….まじで…俺が気失うかと思った…」





照史は淳太の上から、私たち2人を抱きしめた。





「2人とも仕事は…？」

「俺は今日は抜けさせてもらった」

「俺は臨時休業にした」

「ごめん…」

「逆に、お前が犯人と揉み合って病院に運ばれたって聞いて、いつも通り仕事できると思うか？」

「…ううん、」




「覚悟してたはずなのに…、いざこうなると焦っちゃってあかんな…」

「うん、俺も」







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