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Aと、さっきAの口から出てきた照史という人物は高校の同級生で、俺と照史は大学の同級生。
大学生時代、照史と2人で飲んでいた時に『すごい友達がいる』と自慢気に友達の話をしてきたことがあった。
『今日なら休みかも』と、その自慢の友達を照史は飲みの場に呼んだ。
それが俺とAの出会いだった。
Aと照史は同い年だが、俺は1年浪人して入学したから同級生だけど年は俺が1つ上。
まぁ、そんなことは関係なく2人は同い年の様に接してくれるし、俺も2人のことは同い年だと勝手に思っている。
大学を卒業し、それぞれの道を歩んでも
俺たちの友情は終わることなく、卒業して3.4年経っても呑みに行ったり、誰かの家で集まったりと仲良くしている。
だからお互いにどんな職に就いたかも知っているし、もちろん照史もAも、俺がこのバーを開いたことを知っているのだけれど
Aは3人の中でも特に仕事が忙しく、この店に来たことは無かった。
照史はこの店を開いてすぐに遊びに来てくれて、そこからちょこちょこと飲みに来てくれている。
とてもフレンドリーな照史は、あっという間に望と仲良くなり、望がこの店でどんなことをしているのかも知っている貴重な人物になった。
べつにAに望のことを秘密にしているわけではなかった。
ただ、何となく言うタイミングを逃し続けてここまで来てしまった。
「静かでいいね、落ち着く」
「ありがとう」
本当はさっきまでガヤガヤとしていたのだけれど、それは何故か言う気にならなかった。
もしかしたら俺は心の何処かで、望のことを言いたくなかったのかもしれないと
カウンターの丸椅子に座って、ブルーカクテルを飲むAを見ながら初めてそう思った。
「うわ、おいし」
「ほんま？良かったわ」
“ 俺の店にカッコいい奴がいる ”
“ 一目見たら忘れられない ”
Aに惚れている俺としては
他の男のいい話なんてしたくないわけで。
それはつまり、Aが望に出会ってしまったら
俺が望に勝てる自信がないって事を意味しているのかもしれないけれど。
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作者名：ash
| 作成日時：2019年3月7日 23時
