ハートの弓矢は奥深く ２

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先輩にもう一度体温計を渡し測ってもらうと、37.6度。

さっきと比べたら良くなってきてはいるけど、それでもまだまだ高い。




歯を磨き終わって戻ってきた先輩にベッドにもう一度横になるように促し、ベッドの脇で先輩がベッドに入るのを見守った。




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「目覚めてる…寝られへん…」




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熱のせいかフワフワ…いや、ふにゃふにゃしていて、どこか甘えたさんになっている中間先輩。





「横になっているだけでいいですから」

「…Aちゃんもう帰るん？」

「そうですね…、あと30分くらいしたら帰ると思います」





今の時間は19時15分、看病だといってもあまり長居するのは迷惑な気がす……………




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( な、に、これ……)




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時計を見ながら帰る時間を考えていると


…ベッドの脇に立つ私の手首を中間先輩が力なく掴んだ




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「あともうちょっとだけいてくれへん…？」





掠れた声でそう言う





「あ、えっと…逆にいていいんですか…？」





あえて掴まれている手のことには触れないでいた。

すると先輩は掴む場所を手首から手にずらして、私の手をにぎにぎと握り始めた




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____熱のせいだ、先輩は風邪を引いたら甘えん坊になるだけだ




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そう自分に言い聞かせても私の意識は手に向けたらいいのか、それともまだ何か言おうとしている先輩の顔に向けたらいいのか。



私の思考回路はショート寸前で心臓が可愛げのない音で暴れている。



静かなこの部屋中に私の心臓の音が響いているんじゃないかと不安になるほど。




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「だってさ____ 」





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その後に先輩が言った言葉。

その言葉は一瞬で一生残るほど脳みそに刻まれた。





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「___キツイ時くらい自分の好きな人に側に居ってほしいやん」






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