ハートの弓矢は奥深く ２

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携帯をいじったり、音楽を聴いて暇を潰していると

先輩が私を抱きしめたまま寝てから、1時間30分くらい経っていた。



私はまだ起こさないでいる。



冬なこともあって、もう日が短くて外は真っ暗。

窓に反射して映る自分達の姿に、1人で勝手に顔を赤らめた。





「…う、…ん…」




私を抱きしめる力が少しだけ強くなった。




「…んぁ、」

「先輩？起きた？」




今度はオデコを私の肩にグリグリと押し付けた。

先輩の髪の毛がうなじにかすってくすぐったい。




「……ごめ、俺どんくらい寝た…？」




相当眠りが深かったのか『10分くらい？』と言う先輩





「1時間40分、くらい？」

「………え？」

「ん？」

「えぇっ？！？！」





私から体を離し、時計を見て本気で焦りながら謝る先輩に首を横に振った。





「いいのいいの！私が起こさなかっただけだからw」

「ほんまごめん…」

「疲れてるんだから、ね？私が寝かせてあげたかったの」





先輩の机の上には就活の資料が沢山置いてあって、ちらりと見えた紙には大量のメモがしてあって

毎晩1人で就活の準備をして、寝不足になっている先輩が簡単に予想がついた。






「でも」

「ほら、スーツのズボンがシワシワになっちゃうから着替えてきて？」





立ち上がって先輩の背中を押して、寝室へ促す。




「っ、」

「ありがとう」





寝室の扉の前、先輩はクルリと振り返って
背中を押していた私の手を掴み優しく引いて、私を包み込むように抱きしめた。

そしてビックリして固まる私の頭を2回ほど撫でて、先輩は私を置いて寝室へ入っていった。




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今のは反則でしょ、先輩…




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