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勝利side
健人先生が食堂出て行って、風磨先生も隅っこで昨日の掃除班にちょっとお説教してる。マリは泣きそうな顔で俺の方見てる…どーしよっか。
うちの寮、残すのは許されない。ずーっと格闘して先生が諦めて一口頑張ったら終わりでいいよって言ってくれたら終われるけど、それが出るまでは頑張らないといけない。
だからみんな上手くグループの中で食べれないやつ食べあったりして、誤魔化してるの。だけど正直、きんぴらは俺も聡も苦手なんだよね。去年までは上級生が毎回仕方ないなぁって食べてくれてた。
今年はもういなくなっちゃったから、聡と頑張ろうなって約束して2人は最初に一気に全部食べた。どうしよ…もうこの後口直しに食べるもの残ってないし、あの味で終わるの最悪だし…
健人先生に呼ばれた風磨先生に頑張れって声かけられて、2人は出て行った。チャンス…今しかないよね。
「聡、やっちゃおっか」
「ぇ…前怒られたじゃん」
「そうは言ったって無理じゃん。どーすんの?このままマリだけ残して上がれないでしょ」
「何をぉ?僕1人ヤダァ」
「聡、取ってきて」
「えぇ…」
先生たちが来ないうちに、聡が持ってきたティッシュにきんぴら全部入れて包む。よしっ…
「マリ、シーだよ」
「ぅん」
「おばちゃーん!ごちそーさまでした!!」
「はぁい。食器前に置いといて〜」
「はーい!」
食堂のおばちゃんに声かけたらバレてなさそう。制服汚れるの嫌だから、手の中に入れて隠してすぐ、3人で部屋戻った。
「よっし…成功」
「ねぇ怒られない?」
「俺と聡で食べたことにするから。余計なこと言うなよ」
「ぅん…」
ヒヤヒヤしつつも部屋のゴミ箱に入れれたからセーフ。だと思う。ちょうど今日は俺らが掃除担当だから、ゴミ回収自分達でできるし。
コンコン
「勝利〜ゴミ箱」
「え?なんで?俺らでしょ?俺らやるよ」
「見てたじゃん。菊池に怒られたの。今週ずっと俺らだって」
「ぇ…いやいいよ。俺らやる」
「マジ困るからやめて。また罰食らったら最悪じゃん」
「えぇ〜」
仕方ない。バレないと信じてゴミ袋に移す。よかった…ティッシュの塊崩れなかった。
「じゃあなー」
それで安心しきってたんだよね。
お風呂入って、上がったら腕組みした健人先生…
「マリのきんぴらどうしたの?」
「ぇっ…俺っと聡で食べました」
「ふーん?今日のゴミ袋にきんぴら捨ててあったんだけどあれは何?」
やばいやばいっ!
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作者名:ゆう | 作成日時:2022年11月13日 3時