炎夏 ページ7
「あぢぃ………」
鶴見は真夏の野外球場の異常な暑さにだらんとダグアウトで溶けていた。山本と恋人関係になって初めての夏は、今まで以上に暑く感じた。
「お前暑いって言うなよ、もっと暑なる」
「何言ったって暑いものは暑いっすよ。」
「いや。気持ちは大事やん。」
「暑さを認めることで見えてくるものもあるっす。」
精神論を唱えてくる杉本に異論を浴びせかけた鶴見だが、その目が山本を捉えるとバタバタと忙しなく座り直し、背筋を伸ばした。仕方がない。先述の通り恋愛というものをしてこなかった鶴見には、あらゆる場面での「どうしたらいいか」がわからなかった。そんなことを考えて山本を見る中で視線が搗ち合うが、鶴見はとんでもないスピードでそっぽを向いて服をパタパタさせ扇風機の前に歩いた。それでもすぐ隣に感じるその存在は鶴見の眉を顰めさせた。
「ち、ちかいわ」
「俺も暑いし。扇風機独り占めはダメっすよ。」
「…じゃあ俺がどく」
踏み出しそうとした体を後ろから抱き留められ、さらに距離がつまる。
「………はなせ。」
「意識してんすか…?かわいい」
「ぬわあああああああっ!!!!!!」
山本が誰にも聞こえないような声で囁くと、突如静まり返ったドームに響く奇声を上げた佐浪にグラウンド中の視線が集まる。
「こいつが!こいつが悪い!!!」
顔を真っ赤にしてロッカーへ引き上げる佐浪を見て爆笑する山本は空いているベンチに腰掛ける。その様子を見ていたチームメイトはいつものことかと微笑ましく見守ったり、薄々勘づいていたり様々だ。
「あんまいじめたんなよ笑」
満足そうな笑みを湛える山本に、先客として座っていた福田が気の毒そうに呟いた。
○
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フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます!何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです!!!繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔*さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔*さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です!この先の更新も楽しみにしています! (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔*(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます!もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー! (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pH | 作成日時:2023年9月19日 18時