残夢 ページ38
「鶴さん！」
元気な声に迎えられ、シーズンの途中にコーチとしての人生が幕を開けた。
「久しぶりー」
「なんか、コーチって不思議な感覚しますね」
「俺もまだ慣れない笑 なんとか着いてくからよろしくね笑」
何日間かに跨いで挨拶を終えた鶴見は、久しぶりに人に囲まれて少し疲れた様子の自分の身をほぐしながら廊下を歩いていた。
「なんか……夢みたいだな…」
見逸った夢を見ているようなふわふわと夢心地で独りごち、肩を回していると、後ろから急に肩を持たれて驚く声が廊下に響く。
「うわっ？！！」
「Aさん」
「由伸かぁ……今日からよろしく。」
「よろしくお願いします。…挨拶回り、疲れた？」
「まぁまぁ。」
肩を揉まれながら廊下を進む。急に後ろから抱きついた山本に、鶴見は強く抵抗して抜け出した。
「ダメ。」
「なんで。」
「今まで以上に公私は分けないと。」
「今までと同じでいいやん。」
鶴見は淡々と話して、立ち止まった山本から離れていく。その視線はすでに山本からは切られており、ぶつくさと何か呟きながら次のトレーニングで使う資料を忙しなく整理していた。その鶴見の背中を納得のいかないように山本は見つめる。
「あ。…それから、敬語な。」
少し離れて位置から振り返って追い打ちをかけるように要求を置いていった鶴見。今まで以上に広くなりそうな距離に、不満げに、しかしなんとか受け入れようとした山本に誰かが肩を組んだ。
「一緒にいれると思ったのに本人から接近禁止令出されちゃったか、かわいそうに。」
「距離感バカの石川さんじゃないですか。」
下唇を態とらしく出した顔に嫌味を言ったはずの言葉は宙に浮いたままにされ、石川は急に真面目な顔をして続けた。
「まぁなー、鶴見さんもやるならとことんの人だろうし、ドーム内でイチャつくのは諦めた方がいいよ。」
「…そんなんわかってます。」
「コーチとして……チームの役に立ちたいんでしょ。たぶん。」
「なんか、…俺よりわかってるみたいな言い方っすね。」
「まぁ…それはね。」
意味深な言葉を並べ、フッ、といつもの薄ら笑いを向けた石川は小走りで廊下の奥へ消えていく。
「むかつくー笑」
関係が変わった不安を隠し、空元気で発した言葉は、石川の耳にも届いていた。
○
お久しぶりです。仕事がそろそろ落ち着きそうなので少しずつ再開します。ストックないのでノロノロ更新です。またよろしくお願いします。
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フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます！何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです！！！繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (11月13日 19時) (
レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔＊さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔＊さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです！ (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です！この先の更新も楽しみにしています！ (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔＊(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます！もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー！ (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pH | 作成日時：2023年9月19日 18時
