妬心 ページ4
「大丈夫？笑」
ガヤガヤした選手食堂で項垂れる鶴見の隣にどさりと腰をかけたのは高校の先輩、山��だ。山本に対する気持ちを頑として認めようとしない鶴見に、ちょっかいをかけてくるのは日常で、今回もだいじょばないことを知っているくせにニヤニヤと近づいてきては先ほどの発言である。
「なにがですか。」
その山��に鶴見はまたわかりきった疑問をやる気なく投げつけた。その様子を見て山崎の目元のシワはさらに深くなる。
「もういい加減さぁ、…ねぇ？笑」
世間では優しいだの大人だの黄色い声で騒がれている山��。確かにかっこいいし否定はできないが、それを上回ってアホでど直球、好きになったら早く言いたい派、難しい恋愛に関してはてんで頼りにならないのがこの男だった。それなのに抱えきれなくなった思いを誰かに一緒に持って欲しくて、鶴見がその相手に選んだのは山��なのだから、どうしようもなかった。
「言えばいいのに。」
「俺へのアドバイス、ワンパターンしかないんすか」
「だってそれしか解決方法がないよ」
手のひらを掲げ、お手上げだと示す山��に新たな解決方法を提示するが、それはすぐに打ち砕かれることになる。
「由伸がくっついてこなければ全て丸く収まるんすよ」
「無理じゃん笑 どうするの？」
「…それがわかってたらこんなになってないっす」
鶴見の目線の先には山本宮城の人気コンビが仲良さそうに談笑している。そのまま宮城とくっついていればいい、信頼し合う若月はどうだろうか。お見合い相手を見繕うように、目ぼしい人物を思い浮かべるが、その姿は徐々に薄くなり、鶴見と山本が隣り合う像が徐々に濃くなる。なんとか振り切ろうと大好きなカレーを頬張るが、正直味がしない。俺から離れてくれればそれで、とさえ思っていたはずの鶴見の心に渦巻く黒い感情はなにか。答えは明白だった。
○
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます！何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです！！！繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (11月13日 19時) (
レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔＊さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔＊さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです！ (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です！この先の更新も楽しみにしています！ (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔＊(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます！もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー！ (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pH | 作成日時：2023年9月19日 18時
