鳩首 ページ27
後ろ姿がカーブの先に消えたあと、その影はロッカールームへ顔を覗かせる。
「A、大丈夫でした？」
「おぉ、聞いとったん？笑」
「案外過保護だよね笑」
「……まぁ。心配っすよ、割と。」
にんまりとした2人の視線の先の山��は、素直になれない様子で控えめに笑って、誰もいない廊下を見つめた。
「飯でも誘ってやれば？」
「今日泊まりって言うてたで。」
「俺で大丈夫ですかね笑」
「さちや以外いないでしょ」
「お前やないとあかんて」
同形異音を発した同級生たちは顔を見合わせて、笑いながらロッカールームを出て行く。自分のロッカーの前まで歩いた山��はスマホを取り出してLINEを開き、随分と下の方へ遡って鶴見の名前を見つけた。
「…………」
面と向かえばすんなり出る言葉も、文章にするとつい躊躇ってしまう。発した言葉を取り消すことはできない会話とは違い、よく考えて添削できてしまうチャットは他の人には便利になり得るが、山��はこれが苦手だった。
「ひさしぶり、Aとはなしたいし、ごはん、……もうちょっと明るい感じがいいか、」
「きょう……きたんだって、あえなかったし、めしでも、………長いか。」
呟きながら打ち込んだメッセージを見ながら首を捻っては白紙に戻すを繰り返す。少し考え込んだ表情で天井を見上げたあと、山崎はまた画面へと向かった。
今日の夜暇ー?焼肉どう?
さっき泣いてただろうしすぐには返ってこないだろう、とスマホをバッグにしまってグラウンドへ向かう。佐浪の退団が決まってから、少し気まずかった2人の空気を見れば、練習後に返信があればまだマシ。既読無視か、未読無視か。そんなことにもなり得るだろうとあまり期待せずに投手の群に歩みを進めた。
────────────
「お疲れー」
「お疲れ様っすー」
シャワーを浴びてロッカーに戻り、すぐに確認するのは佐浪からの返信を心待ちにしているようで悔しいがスマホを取り出す。濡れた髪をガシガシと拭きながらLINEを見ると佐浪の名前の横に「1」の数字が見えた。
A ごちそうさまですー
去年行った焼肉でお願いします
ぶっきらぼうに見える返事も懐かしく感じる。少し値の張る焼肉屋を思い出して天を仰いだが、すぐに笑顔に戻った山��は返事を打つ。
しょうがないな
画面を閉じてまたバッグにしまう。楽しみでにやける顔を隠しながらタオルで髪を拭いた。
○
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フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます！何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです！！！繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (11月13日 19時) (
レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔＊さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔＊さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです！ (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です！この先の更新も楽しみにしています！ (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔＊(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます！もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー！ (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pH | 作成日時：2023年9月19日 18時
