瓦解 ページ24
「宮城、Aさん辞めたの、納得してないっすよ。」
「ぶつくさぶつくさうるさいんすよ。あいつ、Aさんのことなんだかんだでめちゃ尊敬してるんで。」
「お互い意地張って、由伸さんともあまり話してないし。」
黙ったままの鶴見に、様子を伺いながら間を開けて言葉が降りかかる。2人が話していないと聞いたところで反応を示した鶴見。やっぱり他人のことになると反応せざるを得ないとわかっていたみたいに、紅林はいつの間にか成長していて大人な表情で控えめに笑っていた。少し前まで何も考えてないクソガキだったくせに、と鶴見は心の中で悪態をつく。それでも図星は図星で、鶴見は何も言えずにいた。
「Aさんにしか解決できないっすよ。」
「………今日、見てるから頑張れよー」
先ほどは言い逸ったが、すっかり常套句になった言葉を投げてはぐらかす。紅林に背中を向けて歩き始めた鶴見は予想外の悪影響に、動揺していた。それでも休む暇を与えないというように少し歩いたところでまた手を振る影に出会った。ポケモンで草むらを掻き分けるときのように、こういう時に限って相見は避けられないものらしい。帽子を取り、会釈をする中川に会釈を返す。
「お疲れ様っす。」
「圭太、久しぶり。」
『よく来れたな。』
聞こえた声は2人以外のもの。中川越しに怪訝な顔をするファンが見え、笑顔で話し始めようとした中川の顔が曇るのが分かる。こうやって不快な思いをさせるのはいけないと、観客のいる場所は避けて通っていた鶴見だが、すっかり考え込んでいたところでいつの間にかファンが立ち並ぶフェンスまで辿り着いてしまっていた。ファンの方に向き直る中川を冗談っぽく笑って引き留める。
「ちょちょ笑 圭太、」
『触んなよ』
間一髪で引き剥がしたところで、次に聞こえてきた声に咄嗟に引っ込めた手を中川は俺は気にしないと見せつけるように掴んで握り込んだ。そのままグラブを拾ってダグアウトへ歩き出す。
「なんも分かってへんくせに。」
「俺は大丈夫だから。もう慣れたし笑」
急に止まった背中にぶつかると、中川は鶴見を振り返る。
「こんなのに慣れないでくださいよ。……俺は悔しいっす。」
中川は悔しそうに下唇を噛んでいた。またここでも、もう一つ息が苦しくなった。意思に反して涙がこぼれそうになる目を隠すように前髪をグシャリと握って下ろす。掴まれた手は離されることなく、いつもより荒っぽく歩く中川に連れられて裏へ下がった。
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フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます！何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです！！！繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (11月13日 19時) (
レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔＊さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔＊さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです！ (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です！この先の更新も楽しみにしています！ (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔＊(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます！もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー！ (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pH | 作成日時：2023年9月19日 18時
