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矜持 ページ18

会見を終え帰宅した鶴見は、ソファーの上で虚脱して両親とした電話を思い出していた。









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「ごめん。プロ野球選手、辞めることになった。」

会見が決まった時実家へとかけた電話は、謝罪から始まった。自分の恋愛に対する考えについて打ち明けていたおかげで、両親はこの報道をすんなりと受け入れ、恋ができてよかったとさえ思っていた。当然、この仲が続くと考えていた母は驚いたが、すぐに理解した。

「……そう。…山本くんを守るのね。」

ずっと見てきた両親には鶴見が何をしようとしているか、筒抜けだった。新聞を捲る音がして、父もいるのだと分かる。寡黙な父にとって、沈黙は肯定だ。

「お父さんに似たのね!」

そう言った母は、過去何度聞いたかわからない、人気のあった父と付き合って嫌がらせを受けた時に捨て身になって守ってくれたヒーローの話をし始めた。

「おい、もうその話はいいだろう」

電話の奥で気恥ずかしそうな父の声が響く。その様子が懐かしくて笑うと、その笑い声を聞いた母は続けた。

「なんでもいいの。Aが笑っていられるなら、それでいいから。」

その声の後にまた新聞を捲る音がする。鶴見は感謝を述べて電話を切った。









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思い出し笑いを薄らと浮かべながらネクタイを緩めているとスマホが光り、その画面には「父」の文字。父からの電話はいつも実家の家電からなので、珍しいと思いながらも通話ボタンをタップした。

「…もしもし。」

「………もしもし。Aか。」

「うん。」

父が部屋で飼うインコの声が微かに聞こえ、母に内緒でかけてきたのだとわかった。

「会見、見てた。」

「……うん。ありがとう。」

「……よく頑張ったな。」

「…………」

「………かっこよかったぞ。…近いうち、胸張って帰ってこい。」

返事を待たずに切られた電話からは電子音が響く。なんでもないような会話の最後に発された父の言葉。あまり褒められた記憶のない父からのその言葉に、涙は堰を切ったように溢れた。全てを一気に失った今、自分に何があるのだろうか。空っぽになったはずの身体は、鉛のようにずっしり重たかった。







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フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます!何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです!!!繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔*さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔*さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です!この先の更新も楽しみにしています! (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔*(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます!もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー! (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pH | 作成日時:2023年9月19日 18時

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