検索窓
今日:39 hit、昨日:30 hit、合計:132,861 hit

暁闇 ページ13

「いつも通りでいいです。何か聞かれても否定も肯定もせず、会釈だけしてください。」

山本にそう言われて頷いた鶴見の背中を、ベテラン陣は優しく叩いてグラウンドへ出ていく。

「言ってくれたらよかったのにー」

そう言って鶴見の隣に座ったのは、山岡だった。

「……言えないよ、笑」

切なく笑う鶴見の目の先に、気まずそうな表情がいくつか見えるのは、当たり前の反応だと思った。

「みんなごめん。大事な時に集中切らすようなこと、」

「謝んな。気にすんなー」

「……ありがとうございます。」

謝罪の言葉を遮って少し遠くの方から叫んだのは福田。あえてみんなに聞こえる声で言ったようなその言葉にみんなも頷いて同意を示した。目の前に座った山崎はどうしても震えてしまう手を握って、大丈夫大丈夫と呟いてくれた。

「おい触んなよー笑」

そのやりとりを後ろから遮ったのは他でもない山本だった。

「うわ!打ち明けた途端そうやって!昨日までは何も言わなかったやん!」

「Aさん大変そう…」

「由伸さん、案外嫉妬深いんすね笑」

みんなが楽しそうに突っ込んだり哀れんだり。その様子を見ていたら、笑いが込み上げた。

「もうダメ。俺のだから。」

「おいマジやめろ」

バックハグでそう言った山本と顔を赤くして抵抗する鶴見に、既に倦厭し始めてる顔もあるが、みんなニヤニヤと揶揄うような視線を向けている。

「いつもと変わらないのに、なんかいつもより、…なんか…」

「エ_ロい!」

「オブラート探してたのに!」

そんな会話を聞きながら笑っていた翌日、山本と鶴見は球団事務所へと呼ばれ、いつもとは違いお互いの家に帰っていた2人は別々の車で事務所へ向かった。そして話は冒頭へと戻る。








炯眼→←蜿蜒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (206 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
664人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

フジ(プロフ) - もぴさん» ありがとうございます!何度も読んでいただけているの、とっても嬉しいです!!!繁忙期とストック不足が重なって少しずつの更新になってしまいますが、完結目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 天翔*さん» 2人の気持ちが再会できてよかったです笑 これからも天翔*さんの展開を想像しながら気長にお待ちいただけたら嬉しいです! (11月13日 19時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
もぴ(プロフ) - 何度も読み返している大好きなお話です!この先の更新も楽しみにしています! (11月9日 20時) (レス) id: 14fd480e3d (このIDを非表示/違反報告)
天翔*(プロフ) - もう本当にこの展開を待ってました。最高すぎます… (11月8日 19時) (レス) @page30 id: 0e0fd021ce (このIDを非表示/違反報告)
フジ(プロフ) - 大津さん» ありがとうございます!もう最後までストーリーは決まっているのですが、期待に応えられるような展開になっているかドキドキです笑 これからもよろしくお願いしますー! (10月29日 22時) (レス) id: 81470cd1e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:pH | 作成日時:2023年9月19日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。