全力で ページ47
最初の一音が流れ始めた瞬間
嘘のように足の痛みが消えた
きっと
実際に痛みがなくなったわけではない
まさか、怪我が治ったわけでもない
麻痺というか何というか
とにかく
私は、今このステージに全力を尽くすべきなんだと思った
“世の中の男はみんな私の虜”
自分の歌パート
“華奢な肩、細い腰、長い足で”
姿勢を低くする振り付け
“白い肌、大きな瞳、赤い唇で”
カメラを見つめてアピール
これで本当に最後なのだと、自分に言い聞かせながら
１つずつ
丁寧に
サビに入る前
ソラちゃんの歌パート
「……」
彼女の表情を見た瞬間
いつもと違う、と感じた
もしかして…
『あなたは、』
やっぱり
ソラちゃんは歌詞を忘れてしまったみたい
その上、動線も間違ってる
このままじゃステージの中央が変に空いてしまうし、歌詞も途切れちゃう
何とかしないと
そう思ったときにはもう
私はセンターに立ち
ソラちゃんのペアであるスニョンくんのネクタイを引っ張って
「私の虜」
続きを歌っていた
驚きからか、この日最大とも言える歓声が上がり
サビも盛り上がった
その後はソラちゃんも落ち着きを取り戻したようで、リハーサル通りにやり切ることが出来た
「…
…はぁ、はぁ、」
終わった
終わったんだ
「ありがとうございました」
ステージで挨拶をして
舞台袖に向かう
足が、身体が、自分のものじゃないみたいにふわふわとした感覚
全く力が入らない
さっきまで、一体どうやって踊っていたのだろうか
「…わっ」
『オンニ！！』
ちょっとした段差に引っかかり
そのまま床に倒れ込む
…と
思ったら
「あ、
…スニョンくん」
「大丈夫ですか？Aさん」
汗びっしょりの
キラキラ眩しい王子様
転びそうになった私の身体を支えてくれた
「ごめんね、ありがとう」
「いえ…
それより、足は」
さっきまでは元気に動いていた
捻挫したはずの足
そのことを意識した途端
激痛に襲われる
「…っ、」
「Aさん！」
とてもじゃないけど、立っていられない
千切れるんじゃないかってぐらい足首が痛くて
息を吸うだけで苦しい
「歩けますか？」
「……だ」
「大丈夫じゃないです。無理しないでください」
「スニョンくん…
わっ」
突然身体が宙に浮いたと思ったら
予想よりも逞しい腕に抱き上げられていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1490人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - 大好きなお話です！主人公ちゃん幸せになってほしい！無理なく更新頑張ってください、楽しみにしています^_^ (2019年11月14日 18時) (
レス) id: d947a4b4d3 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - お話本当に好きです。主人公ちゃんの頑張りに胸を打たれます。正直者は報われる。幸せになれる。そんな未来を夢みます。 (2019年10月31日 20時) (レス) id: 4f0e5db1b8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - もう！練習一生懸命やらないメンバーには心底腹が立ちますね！天罰をお願いしますね、作者様 (2019年5月6日 19時) (レス) id: fccbfe2d8d (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 楓彩さん» そんなそんな、まだまだですよ。そう言って頂けて光栄です(o^^o)この先もほっこりキュンキュン出来るように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年2月17日 12時) (レス) id: 66b1f2a509 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はるちゃまさん» そんな風に言って頂けて嬉しいです(;_;)低評価はそんなに気にしていないので大丈夫ですよ！元々自己満小説なので(笑)はるちゃまさんのように言ってくださる方がいるだけで頑張れます！本当にありがとうございます^o^ (2019年2月17日 12時) (レス) id: 66b1f2a509 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レモン
| 作成日時：2018年11月25日 19時
