YouAreMyStar２

寝不足 ページ12

宿舎に帰って

楽な服に着替え、メイクを落とし
ベッドに横になった


「はぁ…」


明日、行きたくないな


MVの撮影とはいえ
あの2人のラブストーリーなんて見たくない


「…あ」


メッセージの受信音が聞こえたのでスマホを手に取ると
相手はホシくんだった



【お疲れ様です。

Aさんが俺を探していたこと、ミンギュに聞きました。
すぐに行けなくてすいませんでした】


ホシくんは悪くない

私が嘘をついて逃げただけ


謝らせてしまって申し訳なくなる


【私の方こそ、時間をもらったのに先に帰ってごめんなさい。

また今度時間を】


そこまで打ち込んで指を止める


今度って…いつ、だろう



いつなら

また “言いたい”という気持ちになれるだろうか



あのときの勢いが嘘のように消えて無くなり
今の私には、とてもじゃないけど告白なんて出来ない


それどころか

ホシくんの顔を見ることも難しいかもしれない


「……」


途中だった文章を消して

【明日も頑張ろうね】と打ち直した








困ったものだ



こんな私的な感情を仕事に持ち込んではいけないとわかっているのに

どうしてもコントロール出来ない




こんなとき、相談出来る相手がいたらよかったな




メンバーとはまともに話も出来ない


友達と呼べる人も身近にいなくて

私は独りなのだと苦しくなる







・




・




・




そういえば

前までは、これが当たり前だったんだ





私はいつも独りで


嘘で塗り固めたグループ
そのリーダーとしてのプレッシャー、重み、苦しみ

スタッフの方へ頭を下げる日々


夢にまで見た世界に立っているというのに、楽しいことなんて無かった






そんな中



眩しいくらいに明るくて

強く真っ直ぐなホシくんに出会った





いつも変わらぬ姿で努力を続ける彼を尊敬しているし

私のことを一緒に悩んで励ましてくれたその温かさに惹かれた






私の中にある想いは

整理をすればすごく単純なもので



ただ、ホシくんのことが好きというだけ



それだけ

なのに





その一言を伝えるのがこんなに難しいなんて









ーーーーーー



ーーーーー



ーーーー





『A
昨日夜更かしした？』

「あ…わかりますか？やっぱり」

『薄っすらクマがある。じっくり見ないとわかんないけどね』

「…すいません。気をつけます」

『いやいや、大丈夫。これくらいなら簡単に隠せるから。

ただ、珍しいなぁと思って。遅くまでダンスの練習？』

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