レンタル彼女

女防止の彼女 3 ページ8

それから何も変わったこともなく、
ただ時間が経つだけだった。







そして気づいたらもう7日目。







Aは明日の朝にこの家を出て行く。








『ジョンハナ、私ちゃんと役に立てた？』




「当たり前。もういるだけでいい」




『ふふ、そっか』








2人でソファに座って借りた映画を観ていたら
Aが俺の肩に頭を乗せて手を握ってきた。








「なんでこの仕事やってんの？」




『ははっ、それ聞いちゃうの？笑』







気になって仕方がなかった。
もし理由がなかったら本気で俺の彼女にしたいから。





理由があるからやってるんだろうけどさ、







『みんなお金が必要とか悩みを持った人が多いんだけど、私はお金とかじゃなくて近くで人の笑顔が見たいだけなんだ』






…これは本当なのか、嘘なのかわからないな。






『もちろん、気持ち悪いおじさんとかいるけど
結果その人の本当の笑顔を見れば悪い人じゃないって思うの』






''おかしいよね、私''と笑うAは
どこか切なく、悲しそうだった。






『こうやってジョンハンに出会えて
私も幸せだし、楽しい。ありがとうジョンハナ』





「…泣きなよ」





『え？』





「無理しないで泣きな、ほらおいで」







優しく彼女を抱き締めると、
腕の中で鼻をすする音が聞こえた。







『お見通しなんだねっ…ジョンハナには』







と、泣き出す彼女。








何もわからないけど、
ただ辛そうに見えたから言っただけだ。








「いつまで続けるのこの仕事」





『10人以上と付き合ってからかな』





「俺で何人目？」







こんなこと聞くのなんかタチ悪いな。





でも気になる。








『3人目』








…意外と新人なんだ。なんか嬉しい、








『ジョンハナ、私のこと好きになっちゃった？』




「っ、」






顔を上げて微笑むAに深いキスをした。









『はぁっ…ダメ、この先は本当の彼女として』







目をとろんとさせて弱々しく俺の肩を押した。





あぁ、俺のものにしたい。









「俺の本当の彼女になってよ」





『…ごめんね、』








と、俺の告白に彼女はただ微笑むだけだった。








ただの女防止の彼女だったのに、
今じゃ俺の片思いの相手になってしまった。















【女防止の彼女】









次回はジュンメインのお話です。

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