4:私の前に現れたのは ページ4
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チラッと視線を上げると、店員さんと目が合う。どうやら、私の様子からして財布を忘れてしまったことを察したらしい。心底面倒臭そうな目線を向けられ、萎縮してしまう。
「 すみません… 」
思わず、小さな声で謝った。もちろん、韓国語で、だ。はあ と大きなため息をつかれ、更に焦ってしまう。
「 あの、家がこの近くなので、すぐ財布を…!」
そう言って、半ば逃げるようにレジの前を去ろうとした、その時だった。
『 これと一緒に会計してください 』
隣に立った誰かがそう言い、レジにホットのコーヒーとチョコレートのお菓子が置かれた。
耳に届いた低い声は、当然知らなかったし初めて聞いたものだった。慌てて隣に顔を向ける。その人は私からしたらとても背が高いようで、まさに 見上げる という表現がぴったりだった。首を折って上を見ると、真っ先に目に入ったのは、高くてキレイな鼻だった。
「 え、あの…… 」
戸惑っている私を余所に、隣に立った男の人は、ほんとに、自分のと私の分を纏めて会計を終わらせてしまった。
レジ袋を手にドアへと向かう彼に、慌ててついて行く。後ろから見た彼の背中は、とても大きかった。
「 あの… 」
『 はい 』
コンビニを出ると、彼は立ち止まって私と向かい合ってくれた。それと同時に、コーヒーだけを取り出したレジ袋を渡された。
「 え、あの、チョコレートは… 」
『 あげます。それ、美味しいから 』
「 でも…… 」
初対面なのに、どうしてこうも親切にしてくれるんだろう。レジ袋を両手で持って顔を上げると、彼と初めて目が合った。
切れ長の目。筋の通ったキレイな鼻。形の整った唇。小さな顔にそれらが詰め込まれた彼は、所謂 イケメン と呼ばれる類の人だろう。それに加えて、この高身長にこのスタイルだ。私との身長差を考えたら、絶対に180は超えているだろう。…こんな、いわばアイドルみたいな人に会ったのは初めてで、不覚にもドキッとしてしまった。…いや、もしかしたら、アイドルなのかもしれない。私が知らないだけで。
「 ……ありがとうございます、ほんとに…。財布忘れちゃって… 」
『 ……家、この辺ですか?』
「 あ、はい…!マンションなんですけど…。今日…なんていうか、引っ越し?をしてきまして… 」
『 え、今日?』
彼のキレイな目が、少し見開かれる。その様子と彼の声からして、どうやら驚いたらしい。
「 あ、留学で… 」
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アオコ(プロフ) - るるるさん» ミョンホにはこれからもどんどん動いてもらう所存です(言い方) (2020年10月12日 20時) (レス) id: ad766077a4 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - ミョンホ〜(*^ー゚)b グッジョブ!! もう〜〜うぉぬくん…熱上がっちゃう((〃´д`〃)) (2020年10月8日 16時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
アオコ(プロフ) - るるるさん» るるるさん〜!こちらこそお久しぶりです!!チャイナ組には大活躍して頂きたい願望があるので(願望)、たくさん書けるようにか頑張ります!わかります…どんだけ美味しいお肉出てきても多分無味に感じますね… (2020年9月30日 23時) (レス) id: ad766077a4 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - アオコさん、お久しぶりです〜!チャイナ組が登場しててめちゃくちゃテンション上がりました!おぬ君とじゅんぴとはおちゃんとランチなんて…顔面が眩しすぎて緊張でご飯喉を通らなさそうです笑 (2020年9月29日 21時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
アオコ(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます〜!私もうるさい人種だからか個人的に賑やか方めちゃくちゃ好きなので騒ぎまくりましょう…?! (2020年9月17日 21時) (レス) id: ad766077a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオコ | 作成日時:2020年9月16日 22時